確かに,体内時計の考え方は役に立ちます.数年前にある男子学生が会食直後に吐き気と腹痛を訴えました.病院では「体内時計の乱れ」が原因と診断され,その後,生活を改善することによって回復したそうです.2年前,私は鼻の両脇と下部が赤くなったのですが,半年しても治らず,皮膚科で受診しました.パターン化された絵を示され,「この部分が炎症を起こすのは,加齢による脂肪代謝が原因なので,治療には長期を要する」との診断でした.炎症止めとビタミン(B2とB6)が処方されましたが,半年以上経っても炎症は悪化する一方で,自分で検討することにしたのです.結論として,原因は体内時計の乱れ(その頃は夜遅くまで書き物をしていた)と5月頃からの強い紫外線の影響でした.とりあえず,炎症はスクワランの入ったクリームで3日間で治りました.さらに不規則な生活で再発したため,日焼け止めの使用に注意し,規則正しい生活を気を配る日々です.また,米国旅行では毎回,時差ボケと
体重増加がひどく,会議どころではなかったのですが,今年6月の旅行では(薬も服用せずに)現地でも帰国後も快調でした.体内時計のことを意識し,食事量のコントロール,果物とミネラルの摂取を心がけたことがよかったと思っています.
先に『もっと時計を見る』と健康になる」を読んだ時には,総合科学的な立場から大変興味深く,また感動しました.「『時計遺伝子』の力をもっと活かす!」は「先の著書の縮小版」かなと思ったのですが,内容は相変わらず盛り沢山の印象です.著者によっては,新刊の趣旨(特に既刊とどういう点が異なるか)を前書きで述べますが,本書ではよく読み取れませんでした.
医師による健康本を何冊も読んでみると,その人の専門分野や経験値などによって,主張が大きく異なる点がいくつかあることに気づきます.専門家(特に大学の研究者)は自分の専門分野でわかっていることを論文やデータに基づいて淡々と書くのは当然ですが,読者は氾濫する情報の中から自分の体に適するものを選択しなくてはなりません.現代はそのような時代ではありますが,一般の人達を対象とする健康がテーマである以上,(平易に解説するというだけでなく)多少なりとも総合医療的な記述やコメントがあれば有り難いと思うのは私だけでしょうか.
Nature Reviewとか読む前に、これを読んでおくと
英語文献が読みやすくなるかと。
この本が出版された時点で、どこまでのことが明らかとなり、どこまでが当然のこととして受け入れられているのかを知ることができる。
また、この分野での有名人も知ることができる。
サイエンスをやるひとなら読んでおいて損はない。