この映画は、主人公が、過去にさかのぼって語るという形式をとっています。
保険外交員の主人公は、顧客のディートリクソンの妻の誘惑に負けて、夫殺しに荷担してしまいます。
主人公は保険会社勤務ですので、普段は保険金目当ての事件などを見抜く立場にありました。
そのため、
アリバイづくりなどは用意周到で、何もかもすべて完璧でした。
しかし疑り深い同僚のキーズにより、次第に計画がくるい始めます。
この妻というのが本当に恐ろしい!
特に主人公の後ろ姿を見つめるときの何かをたくらんでいる目。
夫が死んだら一緒に暮らせるなどと持ちかけ、
主人公は1度は拒否するものの、結局殺人を犯してしまうのです。
主人公を破滅させる、悪女とはまさにこのことです。
最後の最後まで目が離せない作品です。
書式がいい。通常、シナリオ書籍化の場合、ト書きの始まる位置を台詞より落として印刷するが、本書の場合、普通の小説の地の文と同様に配置されている。そのかわり、台詞とト書きの間に一行が空けられている。こういう体裁のシナリオ本は良い。
この作品はフィルムノワールの最高傑作の一つに入ることは間違いない。日本ではコメディで有名なビリー・ワイルダー監督だが実はシリアスなドラマも多い。でも、サスペンスとしてもここまでしびれる作品になっているのは、脚本があのレイモンド・チャンドラーが加わっているからなのかもしれない。保険金の勧誘をしにいったウォルター(フレッド・マクレイ)が美貌の人妻フィリス(バーバラ・スタンウィック)に一目ぼれし、保険金殺人に発展していく。実はフィリスは後妻で過去にも殺人を犯した可能性もあるという証言も現れる。
展開は倒叙小説風で、犯人の告白による回想で進む。松葉づえの男の影、フィリスとの出会いのキーとなるアンクレット、ウォルターが
調査員ギース(エドワード・G・ロビンソン)の葉巻に火をつけるロウマッチ等小物にも凝っていて面白い。
フィリスは夫だけでなく義理の娘の殺害も計画しており、最悪の悪女をであるがウォルターの逢うときの憂いに満ちた瞳は最高に可愛い。最高の悪女であることは間違いない。
サスペンス的にも
列車の展望デッキでの展開やウォルターの部屋に向かうフィリスとたまたま彼の部屋に訪れたギースとのニアミス等のドキドキ感は最高。
今観ると、指紋や外傷の問題等の粗はあるかもしれないが、初めから最後までドキドキする展開は最高だった。最近では観ることのできない面白い作品であることは間違いない。
ラストのギースが瀕死のウォルターの煙草にマッチで火をつけるシーンは、「さらば友よ」でアラン・ドロンがチャールズ・ブロンソンの煙草に火をつけるシーンに影響を与えていると思う。
作品は最高傑作なのだが,DVDの画質は最低だった。この価格なら仕方がないが、話のキーになるアンクレットがはっきり見えないのは残念。にじんでいるし、登場人物が動くと残像が残るのも最悪、良質な画像のDVDを出してほしい。
脚本にチャンドラーが参加しているので、こうれはまさにニチャンドラーというサスペンス
監督がワイルダーなので、完成度は言わずもがな!
ウディアレンなども、この映画のワンシーンを流用お手本したりと
現在の名監督も、この映画の構成を参考にしたりと、かなりいい映画です
殺しに関しては、じゃっかんの甘さを感じるのだが
ここではバーバラ・スタンウィックの悪女ぶり、それに人生を破滅させられたマクマレー
の哀れな姿を楽しむ映画ですから!
見事なほどの演技で引き込まれるよ
見所多し!
保険金詐欺は、会社が妥協せずに
調査するので、やめようというメッセージです!
金が欲しいからと、軽くやっても向こうは支払わないですから!
勧誘は甘く支払いはシビアという、銀行と並んで金融界のタコですよ!(誌ね!!