デビュー当時からの大ファンです。理奈さんの独特な華やかな音色と溢れ出る曲想がイザイを見事に歌い上げて行きます。確かなテクニックに裏づけされた理奈さんの伸びやかなイザイ解釈。一人の時間にじっくり耳を傾けたい楽しみな一枚です。
2010年1月22日に紀尾井ホールでライブ録音されたものです。実はこのコンサートのチケットを買っていたのですが、都合で行けなくなってしまいとても残念に思っていました。ところが、なんとうれしいことに、そのライブ録音のCD&DVDがこうして発売されることになりました。視聴してみてその素晴らしいできに、ため息がいくつも……。行けなかったコンサートをCD&DVDで疑似体験することができた喜びと演奏の素晴らしさに対するため息。そして、どんなことをしても行くべきだったという後悔のため息。本当に素晴らしいCDです。彼女のファーストアルバムの「モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ」は繊細で心に滲みるものだったし、他の楽曲にも大きな将来性を感じさせるものがあったのに、レヴューには「一般ウケしそうな曲を並べて」「学生さんとしては頑張っている」等の厳しい評が多く見られました。彼女の場合はむしろ外見で損をしているような気がしました(何をやってもビジュアル路線という見方をされてしまうので)。しかし今回のラヴェルは彼女の順調な成長ぶりをうかがわせるのに充分なものになっています。イージーリスニングを求めている方にはお薦めでませんが、「私の演奏を聴いて!」と聴き手に再生装置へ向かうことを強いるような力強さとそれに応えるだけの内容と成果を感じさせるアルバムになっています。
わたしはクラシック音楽の専門的な知識はありませんので、まったくの感想です。生の演奏を聴いたことの無い演奏家のCDを買うことがほとんどないのですが、チャーミングな顔立ちでスタイルの良いジャケットに惹かれて買いました。このCDの曲が馴染みのある曲が多いうえに、シューマンやラフマニノフのピアノ曲からの編曲のせいか、演奏は素直で聞きやすいのですが特徴や個性を感じませんでした。BGMとして聞き流してしまいそうです。休日にハイティーをしながら聞くのには良いかも。実力も将来性も高いので、ちょっともったいないですね。今後、いろいろな曲を生で聞ききたいです。またブログで自身の日記を公開しているので、ある種の親近感が増しますね。
素直なまっすぐな音。
このCDを聴いた率直な感想。弦楽器の演奏で一番、実力の差が出るのはこのまっすぐな音だ。彼女の音は澄んでいて美しい。そして素直。
弦楽器をかじっている私からすると羨ましくってしょうがない。こういう音がすっと出せたらなぁ。そういう音なのだ。
ただ、技巧的とか魅せるといった部分がまだまだ熟していない感じがあるのか。それにしたって演奏のそういう艶なんてのは始めからあるものではなくて、今から付けていけばいい訳だし、今の瑞々しい演奏も十分に素晴らしいですしね。たまたま容姿端麗なのでレコード会社もヴィジュアル路線で売ろうという意図もあるのが、反感を買ったのか。曲目も日本人好みにしようという企画側の苦しみも感じるし、その辺がアルバム自体としては中途半端と捉えられたのか…。日本でクラシック売るのは難しいですからね。
しかし、それもレコーディング当時若干21歳であることも考えて暖かい目で見守ってあげたい。彼女みたいな若くて才能もあり、そして本格クラシック志向の演奏家を育てることができるような土壌が日本にもあればなぁなんて思います。現在ドイツに音楽留学されていらっしゃるとのこと。これから彼女がどういう方向で、どんな演奏家になるのか、とても気になる原石であることは間違いないです。
そういう想いからも☆5つです。
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