「十五少年漂流記」のブリアン少年にあこがれた私は、何社もの文庫本を買いましたが、この本に出会ってさらにサービスという少年のファンになりました。彼のユーモアのセンスはなかなかですよ。「十五少年」にはないおもしろさがあるのです。
小学生の頃、水疱瘡に苦しんでいたときに父が買ってくれた。 見事な装丁の愛蔵版である。 厚くずっしりと重く、布団にあお向けになって読めるものではなかったが、とにかく嬉しくて痒いのを忘れた。 裕福な学校の子供たちが、誤って航海の前夜に小船で漂流、無人島に辿り付く。 人の深奥の混沌を覗き込むような「蝿の王」と比べると、人物・話の展開とも牧歌的。 主人公は初めから英雄らしく強く正しい振舞いで、仇役はお約束どおりお金持ちのお坊ちゃんで劣りまきを連れている。 喧嘩別れ、仲直り、新たな敵の登場、切り札となる強力な味方の登場。RPGの基本形である。 そしてハッピーエンド。 子供の頃夢中になったのはストーリーよりも、無人島での生活だった。 浜での貝拾いや、河での漁、島の探検、狩など。 今では島から帰還してからの後日談が気にかかる。 また子供たちを海に「流して」しまった後の大人たちの2年間が。
|