「
小栗旬」「
長澤まさみ」というキャスティングに興行的な臭いを感じてしまって抵抗があったのですが、
観てみたら思った以上に引き込まれてしまいました。
原作の主人公「三歩」は体格ガッチリで、顔には古傷。いかにもの山男です。
それと
小栗旬のイメージが離れ過ぎていると思ったものの、
小栗旬なりのキャラでうまく演じていて、彼の演技力を見直してしまいました。
原作を壊さずに、いい感じにアレンジされていると思います。
原作は山の楽しさ×厳しさの白と黒、光と影の対比がすごくリアルで、
「結局は助けられなかった」ダークなシーンも沢山あるのですが、
こちらは久美ちゃんの成長物語という感じです。
割と「頑張った、助かった、よかった」物語になっています。
そこは2時間の制約の中では仕方がないことですね。
久美ちゃん(=
長澤まさみ)の段々と山女になっていく感じもなかなかよかったですよ。
爽やかな感じで終われて映画版も好きになりましたけど、
気に入った方は、ぜひ原作も読んで欲しいです。
攻は純情一途で猪突猛進お坊ちゃま、受は毒舌クールビューティー現国教師。二人がカップルになるまでのドタバタ学園コメディを、小野さんと浜田さんが実にいきいきと演じてくださっています。リンゴを振り向かせるために頑張りまくる一条がとにかくいちいちカワイイ…! 頑張るかわいい攻と、美人でかっこいい受けスキーにはたまりません。小野さんのBLと言えば綺麗系の受を演じることが多い気がしますが、元気な少年攻役も実に達者! 声ぴったりだと思います。脇を固めるキャラもそれぞれにキャラが立っていて◎。脚本も原作に忠実でテンポ良く、明るくかわいいラブコメがお好きな方にお勧めです! 私は毎日聴いてますW キャラ良し・声良し・脚本良し! たのしすぎる!!
役者陣には文句はないです。
瑛太は、演技の幅を証明し、濱田岳は、存在自体がマンガちっくで、狂言回しな役回りがぴったりでした。物語を大きく動かす存在として、関めぐみは、美人で、ハッキリした性格ながら人間性の良さが合っていた。また、登場場面はあまり多くないですが、
松田龍平のたたずまい、存在感が何とも言ず良かった。ということで、ちょっとだけ、
大塚寧々の目の下のたるみが気になりましたが。(笑)
本作の妙味は、一言で言えば、物語の前半部分が、後半部分を裏切る形で進むトリッキーな面白さ、全体像がだんだんとに明らかになる巧みな作劇にあります。
前半は椎名くん(濱田岳)が巻き込まれるオフビートな喜劇的な作劇で、中盤以降は河崎とブータン青年と琴美(関めぐみ)をめぐる、哀しき悲劇モードへとシフトされてゆきます。
前半部分で見せていなかったミッシングピースを、後半部分ではめていく事によって、全体像とその印象がまるで変わってくる。終わってみれば、とても心に残る、面白いプロットだなあと、感心しきりなのだけれど。前半部分が、謎を残しつつ進むので、どうもパッとしないという印象なのは事実で、私も少々「かったるい」のを我慢しながら観ました。
でも、大丈夫、どんどん面白くなりますから!! 一体、本屋を襲撃する事と、過去に起こったペット殺し事件がどのように繋がっていくか?時間軸の交錯を利用しつつも、河崎が吐く意味深な言葉。そして冒頭のショットの意図する所。全くの傍観者だと思われた椎名くんもまた、物語の中心軸に引っ張り込まれ、思わぬ形でこの物語に手を添えて行く...。