チェンバロ奏法を扱った歴史的な原書は数多いが、高度で専門的なものが殆んどで、これから初めてチェンバロの音楽に親しんでみようという子供達や初心者にとっては敷居が高すぎる嫌いがある。今回出版された中野振一郎氏の曲集の特徴は、先ず打鍵の強弱で音量を調節するピアノとは本質的に異なるチェンバロの機能と、それに見合った手の運び方や腕を振り下ろすような動作を避け、指を鍵盤から離さずに弾く奏法などが明確にしかも易しく説明されていることだ。特にレガート奏法では鍵盤の微妙な離し方の連続でその効果が得られるのはチェンバロ奏法の秘訣のひとつだろう。ヴェルサイユ・クラヴサン楽派の音楽の本質とさえ言われる装飾音やアルペジオ、そしてピッチについても簡潔かつ実用的に解説されている。また歴史的に使われた、現在とは大分違うオールド・フィンガリングやこの楽器特有のレジスターを使って音色を切り替える為のヒントなども興味深い。
ここに収容された曲目については既に他のレビュアーの方が詳しく紹介しているが、その多くはやはり
フランスものだ。美しく多彩な音色を紡ぎだすような曲種においては、何と言ってもヴェルサイユ楽派の作曲家が抜きん出ているし、彼らの作品を練習していくことで本質的なチェンバロの美的感覚を養うこともできるだろう。そうした意味では日本語で書かれた最初の画期的な入門書と言える。ただし曲目に関しては決して入門者用の易しい曲ばかりを取り上げたわけではなく、中級以上向けのピースもかなり選択されているので、既にピアノ等の鍵盤楽器をかなり弾ける人にとっても満足のいく選曲になっている。惜しむらくは楽譜に指使いの番号が記されていないことだが、これは当時の演奏習慣を考慮した結果だと考えられる。
慈しむ様に丁寧に演奏された旋律に、華やかな装飾音が散りばめられている。それに、適度な、現代的な、スピード感とダイナミズムが加味されている。これはけだし名演である。中野振一郎氏の本領発揮である。この素晴らしい響きを支えているのがチェンバロの名器であり名録音である。このCDに続く「デュフリII」では、さらに、奔放さが加わっている。この2つのCDは何度聞いても飽きることがない。
量子力学の世界は摩訶不思議である。特に粒子性と波動性の二面性はなかなか現実の世界では理解しづらい。本書の光子の裁判はその二面性を光子を被告にした法廷サスペンスさながらの物語として描いている。なんともユニークな発想である。朝永先生の遊び心に拍手である。
欲を言えば、朝永先生にはもっと長編の小説のようなものを書いてもらいたかった。例えばジョージ・ガモフのトムキンスシリーズのような。
浜松市楽器博物館所蔵の18世紀
フランスで製作されたチェンバロの名器が、世界的な活動を行っている日本の代表的チェンバロ奏者である中野振一郎さんの演奏で現代に蘇りました。
音質が非常に綺麗で、13インチ液晶テレビの小型スピーカーでもチェンバロ独特の響きと音色が見事に再現されていました。
博物館のレクチャーコンサートの収録なので、曲の合間にはチェンバロとピアノの構造上の違いを映像で示したり、超絶技巧の手元のアングルがあったりとCDでは不可能なDVDの特性を十分に活かした構成となっているので、音楽好きや楽器演奏者のみならず、音楽教育の教材としても使えるのではないかと思いました。
またDVDからWebにアクセスできるシステムが組み込まれており、浜松市楽器博物館のサイトや「世界の楽器コレクション」オフィシャルサイト(今回は先行販売なので現在鋭意制作中とのこと)にリンクするので、DVD購入後も発展性があって非常に面白いと思いました。
リンク先の博物館のサイトによるとCDのシリーズは多く発売されているので、このDVDシリーズの今後の展開が楽しみです。
加羽沢美濃ファン必見!映像もきれいで臨場感抜群!特に夕焼け雲の音色は気持ちが高ぶって、まるでコンサート会場にいるような感覚に浸れます。高木綾子さんの
フルートの音色も本当に素敵!!