奈良少年刑務所の受刑者達が、授業の一環として書いた詩をまとめたものです。
とにかく母親について書かれた詩が多いことが印象的です。
タイトルにもなっている「空が青いから白をえらんだのです」も然り。
私も子を持つ母として、読んでいて胸がつまり、涙がとまりませんでした。
そして、書く詩が思いつかない子には、好きな色をただ書いて下さい、と
講師の寮美千子さんは課題をだします。
その課題に対して素直に、好きな色のことだけをポツリ、と書いた詩があります。
普通の大人だったら、評に困るような詩・・・。
その詩に対して、受講生(受刑者)の子達は「彼の好きな色を教えてもらって
嬉しかった。」「ほんとうにその色が好きな気持ちが伝わってきた。」
と言葉をかけたのです。
優しく、素朴な感想に、この詩を書いた普段あまり表情がないという少年が
笑顔を見せたそうです。
丸ごとの自分を受け止めて欲しい、受け入れて欲しい、と誰もが願っています。
心の底から渇望しています。
その願いが叶えられない時、人は絶望へと落ち、道を踏み外してしまうのでしょうか。
犯罪は犯罪です。もちろん言い訳は出来ないと思います。
けれど、固い心のよろいの奥には、傷ついた心がある、素朴な魂がある、
それを、受け止める事を周囲が出来れば、何度でもやり直せる、と信じさせてくれる本です。
読んでいる間中、ずっと泣けました。少年達の言葉の一つ一つに泣けます。
是非、多くの人に読んで欲しいし、学校の授業でも取り上げて欲しい、一冊です。