シングル曲を収録したベスト盤(と言われているもの)「RECYCLE」の発売を強く拒み、頑なに背を向けたスピッツのメンバー4人が自らの意思でリリースしたのがこの作品「花鳥風月」です。ここに収録されているのは、日なたの陽を十分に浴びたヒットシングルではなくスピッツの数多い楽曲の中でも特に≪主役になれなかった・かわいそうな≫曲たち。シングルのカップリングでアルバムには収録されてないとか、ライブで一回もやったことがない・・・とか悲しい運命を歩いてきた曲たち。 しかし、だからといってこのアルバムのレベルが他と比べて低いというわけじゃないのがスピッツの凄いところです。むしろ名曲ぞろい!どのアルバムを聴いても共通することですが、スピッツはシングルとそうじゃない曲の優越の差がないバンド。一体どんな基準でシングルを選んでいるのかがほんとに謎・・・「コレがシングルだったらめっちゃ売れてただろーなー」という曲がゴロゴロあるんですよねー。 「花鳥風月」の注目すべき点は、PUFFYに提供して大ヒットした「愛のしるし」や辺見えみりさん「流れ星」、遊佐未森さん「野生のチューリップ」のスピッツバージョンが聴けること。聞き比べてみるのもおもしろいと思います。 そしてファン投票で必ずといっていいほど1位になる超名曲「猫になりたい」、ライブでいちばん盛り上がる「俺のすべて」もこのアルバムに入っちゃってるんだから凄いですよね・・・。 このアルバムがファンに人気があることって、つまり、ヒットしたとかシングルになったってことが、イコール≪いい曲≫ではないことを証明してると思う。そして私は何よりもこういう主旨の作品をリリースしたというそのメンバーの心意気を愛さずにいられないですね。
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