海千山千のオケマンが共演しながら本番中に感動のあまり
流れる涙をとめられなかった・・・とか100年にひとりの
天才と賞賛され続けた・・・とか
でもその評価は本人にとっては何でもないことだったの
でしょうか。
こう書くとご本人(冥福をお祈りします)にも親族の方
にも本当に失礼かもしれないのですが、この秀逸な
ドキュメンタリーを拝見すると、何か、なるべくして
あの悲劇が起こったのではないかと思えるイヤな流れが
なぜかできてしまっていたように思えました。
誰のせいというのでもなく、「二十世紀のモーツアルト」
とたたえられたこの天才の悲劇は誰にもくいとめることの
できないものだったように感じました。
でも日本に帰国なさってから、お父様が衛星放送を
テレビで流すとバイオリンを演奏するそぶりを見せた
とあります。
本人にとってもバイオリンは最後まで「善」なるもの
「美」なるもの、そして「真」なるものだったので
しょう。
これだけの演奏をなさった方ですら演奏以外の要素で
こんなにも苦悩しており、音楽が最終的な救いに
ならないのだとしたら、音楽って人間にとって何なの
だろう。と悲しみでいっぱいになりました。
だから、最後の、心のどこかでは演奏したいという
気持ちを持ち続けていたことが何か救いになっています。
あまりにも悲しいこの実話を風化させてはならないと
思います。
楽器演奏を志す人、特にちいさいお子さんに演奏を
教えている方にはぜひ御覧になっていただきたい
と思います。
モーツアルトだけあって、ほとんどの曲がどこかで聞いたことのある曲で、ある意味安心して聞ける一枚です。
胎教だけに限らず、読書や内職(笑)の時などあらゆる場面でリラックスできる内容です。
色々な感想を読んで、改めて聴きなおしてみましたが、素晴らしい!名器や今日のような録音技術による演奏に耳が慣れているのにもかかわらず、心の琴線に響いてきました。やはり音楽による感動は、演奏者の感性、解釈、表現力によるものが大きいのだと認識を新たにしました。時代背景を思い描きながら、タイムスリップして聴くこともあります。それもまた楽しい一時となります。神童/幻のヴァイオリニスト〜渡辺茂夫
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