8年も前の前作「ドリーム・オブ・ライフ」は少々ぬるめの音だったので、あまり期待していませんでしたが、 1曲目から張り詰める、緊張感の凄まじさ。 最初のほんの数秒で、「このアルバムは凄い」と確信できました。 鋭利な刃物のように研ぎ澄まされたパティが、ついに帰ってきたのです。
ここにあるのは、多くの親しい人達を失った悲しみ…ではなく、「祈り」と「愛」です。 決して悲しいレコードではない。どこまでも強く深い愛情に溢れています。
間違いなく、90年代のベストアルバムの一つです。
テレヴィジョンの最大の魅力は、なんといっても詞、曲、ヴォ-カル、ギタ-、キ-ボ-ド、プロデュ-スを手掛けるトム・ヴァ-レインの個性に尽きると思います。特に、独特の粘っこいヴォ-カルとク-ルなギタ-プレイに魅せられたロック・ファンは数多くいることでしょう。NYパンクと呼ばれているバンドですが、ナタを振り下ろすような爆音ではなく、鋭利な刃物でじわじわと切りつけてくるかのようなサウンドは他の追随を許しません! とにかく、問答無用の歴史的名盤です!!
Television解散後のファースト・ソロ・アルバムで、レーベルは同じエレクトラから当時発売されました。内容は、Televisionよりも、さらにシンプルになっていて、あの絡みつくようなギターを期待している人には、少し物足りないかもしれません。ただ、Televison時代にはできなかったであろうYonki Timeのような余裕とユーモアをもった曲があったりして、Tom Verlaineの新たなソングライティングを楽しみたいと思う方には、非常にお勧めです
テレヴィジョン時代とトムヴァーレイン時代の曲をピックアップして制作された日本独自編集のCDです。テレヴィジョンに関しては70年代後期に発表されたオリジナルアルバム2枚が必須で、ベストアルバムには向かないので、選曲についての賛否両論は絶対にあると思います。どう選んでもCD1枚には無理がありますから。でも日本独自の企画でこんなアルバムが発売されていることを素直に評価しましょう。トムのソロ時代には音楽的にいろんな側面があり、テレヴィジョンの曲とはあまりしっくりこないかなぁと思いつつ、意外と違和感なく(特に1枚目のソロアルバム曲は)聞けます。テレヴィジョンはLPしか持っていないという人は是非どうぞ。というのも「マーキームーン」はフェイドアウトしないロングヴァージョンで一聴の価値ありです。
なぜかこの人の音楽には、独特の冷たさがあります。
それは暗さだとか、虚無感だとか、孤独感だとか、
(孤独感は少しあるかもしれませんが)
そういう雰囲気的なものを統合した印象での冷たさではなくて、
例えばWHAM!の曲をカバーしても、
この人の演奏なら絶対"冷たく"なるだろうなぁ、という不思議な冷たさです。
スティーヴ・アルビニ的な硬質感に近い、計算されたというよりは、
あらかじめこれだけの音を出すと仮定して、実際演奏したらそれに近い音が出た、
といったほうが近いような、自然体ながらも質的な均一感のあるギター、
そしてニューウェーヴ的にヒョロヒョロしながらも決して演奏から外れることのないボーカル、
バックをつとめる"かっちりした演奏"、
そういうものが合わさってか、おそらく最大の原因としてはそのギターフレーズによって、
「冷たい」という印象の起こる音楽です。
でもこれが機械的な、という意味に感じられないところがすごい。
性格が暗いわけでもなさそうだし、偏屈な感じもそんなにしない、
さわやかなんだけど、本人は明るいつもりなんだろうけど、その温度が低い。
なんかよくわかんないですが、ほんと独特の冷たさなので、
ぜひ聴いてみてほしいです。音楽的なレビューじゃなくて申し訳ないです・・・。
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