最近同じ著者の似たような本が発行され、それを読んでみようと思ったら、
その本のレビューにこの文庫本と同じ内容だと書いてあったのでこっちを読みました。
大正天皇の末子三笠宮は、実は双子として生まれてきたが、
当時男女の双子は忌み嫌われたので、女の子の方を尼さんに出し、
その子は記録上いなかったことにした、という驚くべき内容で、
まったく知らなかったので大変驚きました。
まず、信憑性があるかですが、この本の多くには当時の事情を知っているだろう
人を著者が直接インタビューして歩いた証言が多数載っており、
多くの人が肯定していて、証拠もない著者の推測本ではないので、
本当と思われます。この本が当時話題になった後、何人かの証言者が
「そんなことは言っていない」と態度を変えたそうですが(あとがきの付記にもあり)、
それは後で問題になったからでしょうから、最初の証言が正しいでしょう。
そして、本としておもしろいかですが、著者の文がたいへんうまく読みやすく、
まるで推理小説のような展開と緊張感で、本に引き込まれます。
日本人ならぜひとも読みたい一冊です。
今後、宮内庁とかが公式に認めることはないでしょうから、
この本で知識をつけておきたいです。
尼ご本人は、この文庫版初版の時点ですでに故人となられていました。
本当にお気の毒な人生です。
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア響によるブラームス交響曲全集からの 分売です。交響曲第4番は1959年2月にステレオ収録されたもので、演奏時間 は以下の通りです。 1.第1楽章 12:55 2.第2楽章 11:46 3.第3楽章 06:26 4.第4楽章 11:16 当時のワルターは、加齢と病気のため第一線を退いてもっぱら録音に 勤しんでいました。この曲は深さとともに暗さが付きまとうきらいがあり ますが、ワルターの演奏はしなやかさと流れるような美しさを備えています。 それでいて無駄な力は一切なく、達観しつつも押さえるところはしっかり 押さえているように思います。演奏・録音ともに古典と言えますが、時を経ても 「いいものはいい」と思える典型例と言えるのではないでしょうか。
いゃあ、まいった。面白かった。川島芳子はやっぱり生きていたんだね。筆者から説得力のある表現で綿密な資料突きつけられちゃうと、反論の仕様がない。
それにしても、夕陽の大陸を馬で疾走していく姿は、勇壮な西部劇にとんとお目にかかれない昨今、久しぶりに男の血を湧かせてくれた。女からそんな刺激を受けるとは、まことにへんな話であるが。彼女はやっぱり大陸の人間だったことを、あらためて思い直してみた次第。
気に食わないのは、芳子が関東軍の手先になっていたことだ。あれが馬賊を率いて日本軍に立ち向かうのなら、もっと格好いいのだが。
川島芳子のような人間がまたこの世の中に出てきても困るが、それでも今のつまらない時代には面白い存在だ。こんな暗い世の中、インテリのペシミズムなんてなんの役にも立たない。それよりアホなオプティミズムの方がよっぽど世の中のためになる。こんな破天荒なスーパーマン、いやスーパー・ウーマンが出てこないかなぁ。
私がこのレビューを書いている前日、ついに小沢一郎が
強制起訴を受けた。まちがいなく、 日本の政治の歴史
が転換点をむかえたのだ。
中西氏は本書で、小沢一郎という類まれな大 政治家が
日本の政局をどう動かしてきたかを 綿密に分析する。
そして国益という観点から みた場合、やはり小沢一郎
の罪は大きいと結 論付けている。
さてこれだけなら、ただの小沢批判の本で終わるのだが、
中西氏の鋭さは今後の政局をも 見据えて論じている点だ。
小沢問題を軸にした壮大な政局論である。
小沢一郎に否定的な人も肯定的な人も共に必読の書であ
ろう。
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