作者の一般的な知名度や単行本化のせいでどうも松本零士版が知られているエスパーですが、あさの版がオリジナル、東芝のお店に置かれていたエスパー人形もあさのさんのデザインです。 昭和40年代前半頃の理科系学習漫画といえばこの人を措いて無い、という、画力・センスともに抜きん出た漫画家なのですが、単行本化に恵まれず、1980年頃出た「発明ソン太」以来25年ぶりくらいの単行本だと思います。非常に貴重で史料性も高く、かつ作品としての出来も良いので、ちょっと高いですが購入の価値ありです。ファンのつもりでしたが、この本を読んで初めてお亡くなりになっていたことを知りました。これではファン失格ですが、この本を大事にしていきたいです。
1960年代中・後半の特撮ヒーローブームの一翼を担った夢溢れる作品です。
巨大ヒーローを配した円谷プロやPプロ、東映特撮に対し、正義感の強い普通の少年が強化服と言うアイテムを身に付ける事によって等身大のヒーローになる設定が特徴でした。
限られた予算(特にミニチュアワーク)を強く感じさせますが、逆にキグルミを減らし、操演を中心にした個性的なデザインの敵宇宙生物や、エスパーをサポートする鳥型端末チカのユニークさ、鮮やかな原色を基調としたカラーテレビ映えする美術、当時の子供たちの愛唱歌となった主題歌。 そして撮影中に成長して行く様子が追える三ツ木清隆氏のエスパーにピッタリの眼力が有る凛々さ等が現在見ても新鮮です。
(この後、ネタバレが有ります。)
この時期の特撮物の最終回は軒並み印象の強いエピソードが多いですが、エスパーの「宇宙の果てまで」は現在観ると14歳の子供に地球の命運を背負わせ特攻を掛けさせる非情さとエスパーの肉親であるからと宇宙人に殺された母親が庭に焼け焦げた跡として残っているシーンなど大変ハードな内容で驚きました。
エスパーが生死不明のまま彼岸を彷徨う様に見える幻想的な演出が不思議な余韻を残す傑作でした。
(ネタバレ終了です)
最終回の敵役、アルゴル星人の浮遊する輝石化したホヤの如き抽象的なデザインも秀逸で、この星人と前半部の小林清志氏の声が渋いレギュラー悪役ギロン星人が食玩全盛時にどこからもフィギュア化されなかったのが惜しいです。
DVDの画質は色調こそ非情に鮮やかながら、毎回挿入されるオープニングに縦のノイズが載っているのはなんとも気になります
特典のパイロット版(まだ幼い三ツ木氏が可愛らしい)は嬉しいですが、関係者のオーディオ・コメンタリーや撮影秘話(エスパー役はキャプテンウルトラと同様肉体的に相当ハードだったと思われる)等も是非付けて頂きたかったです。
全26話とパイロット版を4枚のDVDにコンパクトにまとめたBOXは省スペースで助かりました。
当時のファンで前回のBOXを未購入の方にはお薦めです。
初出 光文社『月刊少年』。これもエピソードの順番を入れ替えてないという推定で掲載号を書いてみる。 ソン太VSカーキラーの巻 1963年10月号 反引力ペンキの巻 1963年11月号 ソン太式消音器の巻 1963年12月号 ニセ札事件の巻 1964年1月号 ボディーガードの巻 1964年2月号 ブラック光線の巻 1964年3月号 とうめいペンキの巻 1964年4月号 ニセソン太の巻 1964年5月号 イルカのトーキーの巻 1964年6月号 ツルリンコンそのI 1964年7月号 ツルリンコンそのII 1964年8月号 ナマズ大明神の巻 1964年9月号 五輪ピック号の巻 1964年10月号 マジックノーズの巻 1964年11月号 アルバイトの巻 1964年12月号 ウルトラDの巻・1 1965年1月号 ウルトラDの巻・2 1965年2月号 ウルトラDの巻・3 1965年3月号 ウルトラDの巻・4 1965年4月号 ウルトラDの巻・5 1965年5月号 ウルトラDの巻・6 1965年6月号
あと、読み切りが2作 カッパ沼事件の巻 「少年スリラーブック」1962年夏休み大増刊号 雪男騒動の巻 「少年漫画ブック」1963年お正月大増刊号
「ソン太式消音器」は、「ガッチャマン」に位相をずらした音をぶつけて音を消すというメカ鉄獣が出てきたが、その10年ぐらい前にやっている。そして今、その技術はノイズキャンセリングヘッドホンや、重機の排気音を低減する装置として実用化されている。摩擦が0になるツルリンコンとか、科学的な仕掛けがたっぷり。ほんとにすごいな。
長編「ウルトラDの巻」では、太平洋戦争の頃のメカが今見るとほんとにきっちり描いてある。メカはほんとにディテールがシンプルに必要なものをちゃんと描いてあるという意味ですごい。
上巻に登場したマイクロの顔が記憶にあるのと違ったのだけど、この巻では途中から知ってるかわいい顔になっている。途中でデザイン変更したのね。上巻と言えば、「インスタントタイガーの巻2」(1962年4月号)から原稿のサイズが正方形に近い形になって、この巻の「ボディーガードの巻」(1964年2月号)まで続いてるんだけど、どういう形で掲載されてたんだろう。
最後に収録されている読み切り2編は、時期的には上巻の途中に当たる。連続ものじゃないから、途中に入れるとか、上巻の巻末に入れるとかでも良かったんじゃないかな。単なる欲張りな要求ですが。
この作品を完全版として読めたのはほんとにうれしいです。それこそ1981年の全2巻から29年ぶりの悲願達成だもんね。
あさのりじ先生の作品というと、あとはこのあとの7月号から半年間連載した「とびこめビキタン」と、あとは読み切りかなぁ。サンデーに載った謎の地下鉄の短編のことを今も覚えているけど、千代田線の06系を見たときに、あの短編に出てきた30年後の未来の地下鉄車両ってこんな感じか!と思ったもんだ。 短編集としてまとめるほどの量はないのかも知れないけど、まとまったら読みたいです。
初出 光文社『月刊少年』。エピソードの順番を入れ替えてないという推定で掲載号を書いてみる。 海底を行くの巻 1961年9月号 月人あらわるの巻 1961年10月号 立体インキの巻 1961年11月号 四次元西部旅行の巻 1961年12月号 地底世界への巻1 1962年1月号 地底世界への巻2 1962年2月号 インスタントタイガーの巻1 1962年3月号 インスタントタイガーの巻2 1962年4月号 交通戦争大作戦の巻 1962年5月号 磁力飛行機の巻 1962年6月号 無人島へ宝探しの巻 1962年7月号 沈んだロケットを探せの巻 1962年8月号 アフリカ旅行で遭難?の巻 1962年9月号 タケノコロケットの巻 1962年10月号 ソンタ・スコープの巻 1962年11月号 ニセサンタを捕まえろの巻 1962年12月号 ソンタラビット号の巻 1963年1月号 サイミン術強盗団の巻 1963年2月号 史上最大の捕鯨作戦の巻 1963年3月号 ソンタカバリカ号の巻 1963年4月号 ドッコイエキスの巻 1963年5月号 水を燃料に!の巻 1963年6月号 ソン太の昆虫採集の巻 1963年7月号 助けた亀につれられての巻 1963年8月号 ストップグラスの巻 1963年9月号
あさのりじの代表作のひとつ、「発明ソン太」ですよ。1981年に出た全2巻を持ってるけど、やっと念願かなって完全版。リアルタイムで読んだ記憶があるのは1964年の夏頃からなので、上巻に収録されてるのは以前の単行本以外では読んだことがないはず。で、読んでるとまったく記憶にない。ゆいいつ、ソン太ラビット号だけは覚えてたけど。前の単行本を掘り出してつきあわせたいが、どこに埋めたやら。
科学知識、時事ネタをちりばめて、メカや動物をシンプルな線できっちり描いてる作風が今読んでもすばらしい。科学解説マンガも多数手がけている人なので、そういう知識がこの作品にも生かされていると言うことかな。
ところで、中に出てくるモグラクターというメカは、これとそっくりなキャタピラ配置のプラモデルが数年後に出ているけどなんか関連があったのかなぁ。
この巻がマンガショップシリーズ407だそうで、全部買ってる人もいるんだろうなぁ。とてもついて行けません。そんな中でこれは無理してでもも欲しい作品だった。 無理して買ってよかった。満足です。
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