主演のR・ファーンズワースは、若い頃はジョン・ウェインやヘンリー・フォンダの スタントマンだった。「暴力シーンや汚い言葉がひとつもない」ということが、この 作品への出演の条件だった。地のままで演じられたと記者会見で自らが語っている。
あえて監督名を伏せて、このスローでスローな直球ロードムービーは誰の作品か? とクイズをだしても、「イレーザーヘッド」「エレファント・マン」「ツイン・ピークス」の あのデヴィット・リンチ監督だと答えられる人は少ないであろう。
「幸福の黄色いハンカチ」同様ちょっとしたエピソードを織り交ぜながら、一直線に ラストに向かう。最後の台詞もストレートかつシンプル。R・ファーンズワース自身 一番好きな場面という「家族とは折れない小枝の束」というのは日米同じ逸話だね。
すごおく展開が遅くて大したことはなにも起きなくて淡々とした映画なんだけど、なんかすごおく良かった。 「白い犬とワルツ」というドラマとなんとなく似通った部分があるんだけど、ストレイトストーリーのほうが断然良い。「白い犬」はドラマがいまいちだっただけで、原作を読めばすごくいいのかもしれないけど。 で、とにかくストーリーに触れてもしょうがないので見て感じたのは、人はいろんなことを抱えながら生きてるなぁということ。みんながね。でも最後に星空が出てきて、抱えてるけどそれも悪くないな、みたいなね。とにかく良かったんです(そればっか) そういえばドラマとか映画に年寄りが出てくるとじーんとしてしまうようになったのはいつからだろう・・・?
もしもハタチ頃の自分がこの本を読んだなら、面白いと思いつつも、知識量に打ちのめされつつも、
「あんまりだ…」
と暗澹たる気分で本を閉じたかもしれない。
作品の出来不出来(ほとんど不出来について)を語るだけでなく、
スタッフやキャストのプライベートまでつまびらかにし、こっぴどくやっつけているからだ。
「そんなのフェアじゃない!」なんてメソメソ呟いていたかもしれない。
しかし、もういい中年になった今は、
この本で筆者達がしているように、映画の構造を読み取って、相対化したり、普遍的エッセンスの抽出をしてみたり、するようになった部分で、
(もちろん、両氏のような力量は持ち合わせていないけれど)
図に当たったふたりの会話が面白くて堪らなかった。
しかもこうしたものは、意地が悪い方が面白いものである。
さらに、映画作りとは、単純に「作品」を作るだけではない事も教えて貰った。
ビジネスであったり、制作者・出演者の内面の発露であったりして、世の魑魅魍魎が暴れまわるステージであったりもする。
映画と関係者のパーソナリティは、内容に関わらず分ち難く結びついているものであることも、分かりやすく示してもらった。
とりあげられた映画は、もくじに載ったものだけで以下のとおり。
「フィフス・エレメント」
「ジェラシック・パーク/ロスト・ワールド」
「メン・イン・ブラック」
「スポーン」
「ミミック」
「タイタニック」
「スターシップ・トゥルーパーズ」
「エイリアン4」
「スフィア」
「ダーク・シティ」
「GODZILLA/ゴジラ」
「トゥルーマン・ショー」
「Xーファイル」
「アルマゲドン」
「スモール・ソルジャーズ」
「プライベート・ライアン」
「ロスト・イン・スペース」
「ゴッド・アンド・モンスター」
「π」
「シティ・オブ・エンジェル」
「エネミー・オブ・アメリカ」
「アイズ・ワイド・シャット」
「トゥルー・クライム」
「ファイト・クラブ」
「エンド・オブ・デイズ」
「マグノリア」
「ザ・ビーチ」
「アメリカン・ビューティー」
「ストレイト・ストーリー」
「ミッション・トゥ・マーズ」
「ロミオ・マスト・ダイ」
「シーズ・オール・ザット」
「キャリー2」
「バトルフィールド・アース」
「M:I-2」
「サウスパーク無修正映画版」
「インビジブル」
「スペースカウボーイ」
「コヨーテ・アグリー」
「マルコヴィッチの穴」
「漂流街」
「チャーリーズ・エンジェル」
「EUREKAユリイカ」
「ハンニバル」
「A.I」
「千と千尋の神隠し」
「ハンニバル」にはちょっとした怨みがあったので、溜飲を下げる思いで読んだ。
パトリシア・コーンウェル読者の友人にトマス・ハリスの面白さを伝えようとしたら、「ハンニバル」で却下されたからだ。
もっとほかに「ブラック・サンデー」とかもあるんだよ〜!てか「羊たちの沈黙」を読めば…と思いつつ、言い返せなかった。
閑話休題。
でも小説家の女優への執着ぶり、変態ぶりが、妙に身につまされて(オタクならわかるんじゃないだろうか)哀しくなった。
しかしジョディ・フォスターが断るのも当たり前だわ。
私だって「逃げて〜!」と叫んだだろう。
巻末近くに日本映画についても載っているのだが(しかもかなり過激な)「あ、やっぱり」と思ってしまった。
でもいいんだけども。
そんな日本映画が好きだから。
(三池さんは除く…ゴメンナサイ)
それにしても「映画の見方がわかる本」から入った読者としては、あの理性のきいた町山さんの文調との違いには驚くしかなかった。
「ファイト・クラブ」熱には引いた…けど「チャーリーズ・エンジェル」12時間連続鑑賞は余裕だわ。オンナが見ても目の保養!
たった今、観終えました。 なんとなく目に付き、「あ、好き」と思ってレンタルした映画。 皆さんのレビューを見て、この監督のことも知った程です。 じわじわと、くるものがある映画ですね。 一言一言が、後になって響いてくる。 そしてとにかく、登場人物が最高。演技も最高。 辛いニュースばかりのこの時代に疲れた時にこそ、観る映画かもしれません。 星がひとつ足りないのは・・・ まだ、私には理解しきれない何かが、この映画に隠されているような気がするからです。
ツインピークスなどでお馴染みの鬼才デヴィットリンチ監督による、実話に基づいた映画。
兄が倒れたと連絡があり、アルビィンは長年確執のある兄の元へトラクターでの500kmに
及ぶ移動を実行します。周りの人の親切も手伝って、なんとかたどり着くというストーリー
です。
淡々とした時間と音楽がとても良い雰囲気で、様々な出会い、サイドストーリーに笑い、
また胸がじ〜んとなります。男がこうだと決めたら廻りが何を言おうと信念を持って実行する。
そんな頑固なアルヴィン爺さんがとてもダンディに思えました。
鑑賞中ふと考えたことは、なぜアルヴィンはトラクターでの移動を決意したのか?
劇中で示されている理由だけではないと思いました。その答えは最後、無事兄に
逢えたときの場面にあるように思えました。
仲直りしたい気持ちを苦手な言葉ではなく、大変な移動という行動で示したことで
兄は弟の心を逢った瞬間に理解したんだと思います。
とても心あたたまる映画でした。
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