二十歳のころを懐かしむには十分です。 その頃好きだった女性アナログ盤を誕生日にプレゼントしたんだなぁ…
大塚まさじと西岡恭蔵はディランというグループを一緒にやっていた。これは大阪のミナミにあったディランという喫茶店で大塚が雇われマスターをしていたことにはじまる。僕は昔に西岡恭蔵のライウ゛でこのディランのオーナーというかママのヨウコさんという女性を見たことがある。年の割にきれいな方だったと記憶している。 なぜかレコードデビューしたときには西岡恭蔵はディランからはずれていて大塚まさじと永井ようでバンド名もディランセカンドになっていた。でも二人はその後もつかず離れず音楽活動を続けている。「アフリカの月」や「サーカスにはピエロが」はどちらもが毎回ライウ゛でやっている。そんな二人のライウ゛を一枚にまとめた作品。西岡恭蔵がKUROちゃんのもとに旅立ってしまった今となってはもう一緒にステージに立つ二人は見れないので是非このCDで聞くしかない。
まさじさんのベストアルバムが今頃になって発売されるなんて思っても見ませんでした。何と言っても一番嬉しかったのは「プカプカ」と「男らしいってわかるかい」が新録音で聴けたことです。どちらの曲もオリジナルと比べると随分と軽く歌っている感じです。いい意味で枯れてきたって言うのかな。20年前の「THE Live Best of Masaji」と「プカプカ」を聴き比べると、そんな感じがします。 ディランIIが活躍していた頃のいわゆるフォークソングのミュージシャン達の歌を聴く機会がどんどん減っている中で、この人の新しい歌が聴けるのはとても嬉しいことです。
ようやくDVD化ですね。LDボックスは持ってるんですが、観るのには箱にしまったプレイヤーを出すのが面倒くさくて、ここ何年か観てません。 此で、観たい時に観れる。
大塚まさじさんの音楽は三十過ぎてから聴きはじめて、音楽的にもそうですが、人間的にも凄く魅力のある人で、すっかり虜になりました。
今はギター一本でどこへでも出向く、一人旅ライブが活動のメインになっています。今では「一輪の花」「風のがっこう」とラブ&ピースな目をつむれば自然のさわやかな風を感じさせるサウンドが中心になってますが、これはそれらと打って変わって都会の冷たい風を感じさせる若き日の叫びが聴かれます。
大塚まさじさん本人から聞いた話なのですが、当時出したくないレコードだったそうで「出来ることなら回収したかった」そうです。その理由が「自分の暗い部分ばかりが目立つから」ということです。聴く側の思惑とは裏腹に作り手の思いも複雑だったようですね。でも、十年位たってから聴き直すと、その凄さに我ながら驚いたそうです。
大塚さんに言われて初めて気付いたのですが、このレコードの演奏には全くエフェクトがかけられてないのです(最低限の整音はしてるでしょうが)。大塚さんの声のそれぞれの楽器のダイレクトな響きが、聴く者を圧倒します。確かに暗い内容でしょうが、それが大塚まさじさんの飾らない内面をさらけ出してるようで逆に心地よいです。この当時の大塚さんのアクの強い歌い方やこのドカンとした音圧のサウンドを生理的に受け付けない人もいますが、私はあのヴォーカルは大塚さんの当時の正直な叫びと思います。大塚さんはいつもサウンドに対しては正直な人です。その時々の自分なりの表現方法でサウンド作りをしています。時にはそれが不格好に現れたりもしますが、「風が吹いていた」はそれがいい意味で形になっていると思います。
このレコードを作ったミュージシャンやスタッフが当時ほとんど二十代だった事には驚きを隠せずにいられません。それ位完成度の高い作品だと思います。
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