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渡邉泰子 東電OL殺人事件 (新潮文庫)

このルポには当時著者が意図しなかったにもかかわらず記録されてしまった事実が書かれています。偶然写した風景写真にたまたま写りこんでしまったようなモノです。東京電力の福島第一原発の事故があり、その関連で興味を持ちBOOK OFFで手にしました。続編の「東電OL症候群」、小説となった桐野夏生氏の「グロテスク」と合わせて読みました。佐野氏のルポは大きく東京電力OLの心の闇、殺人事件の犯人とされたネパール人裁判の2つをテーマにしながら、渋谷という都市の混沌や東京電力という会社の風土にも触れた意欲作です。ただ、読みながらあまりに情緒的なのが気になりましたが、実は仕事で渋谷の街をブラブラしたときに東電OLが徘徊した地区を通りかかり、自分も情緒的になったことで「実際の現場に行くと琴線に触れるものがある」と思いました。冒頭で触れたのは、ネパール人を殺人者として裁いた当時の裁判官と、最近、冤罪が明るみに出た菅家さんに死刑判決を言い渡した裁判官が同じ人物だという事実です。DNA鑑定のやり直しでネパール人の裁判が冤罪ではないか、と見られており、そうであれば立て続けに冤罪判決を言い渡した裁判官の責任はどうなんでしょう。ジャーナリズムが掘り起こすべき問題ではないでしょうか。原発事故、菅家さんの冤罪証明、ネパール人被告の裁判やり直し、東電OLの当時の上司が現・東電会長の勝俣であり、15年を経た今、原発事故とともに当時の事件が甦ってきたのは不思議な因縁です。 東電OL殺人事件 (新潮文庫) 関連情報




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