まず不動産投資をゲームに喩えるならば、参加するのにある程度のまとまった資金が基本的に必要であり、敷居が高いと言えます。
さらにゲームでいうならば当然に「勝ち」(利益が出ている)「負け」(利益がマイナス)に分かれるのですが、
不動産投資は仮にマイナスの方向に進んでしまったとしても撤収したり、方向を転換したりすることが難しい。
そのため、間違った投資方法で間違った方向に進んだまま戻ることも出来ず、身動きが取れなくなってきている投資家に普段かなりの確率で会います。
特に最初の一棟は大切で、この入り口を間違えると二棟目が購入できなくなり、身動きが本当に取れなくなりますので注意!
投資のタイプを大きく分けると、「一棟物件」か「区分所有マンション」かでまず分かれ、
さらに一棟物件で「RCマンション」か「
木造・鉄骨アパート」か「事務所・
店舗ビル」かで分かれるようです。
昨今の情勢としては「RCマンション」派が断然割合として多いという感じになります。
これは昨今の金融機関の融資情勢が非常に厳しいということが背景に存在し、建物の耐用年数(
木造22年、鉄骨34年、RC・SRC47年)が短い
木造・鉄骨物件では
長期の融資が引けずCF(キャッシュフロー)が出ないことに原因がある模様です。
そうなりますと、必然的にRC造以上の土地・建物の積算価格(土地の路線価格×平米+建物の残存期間による金額)が売値と同等か、それ以上出ている物件を求める方が増えています。私が普段にお会いする投資家の方でも大半は「RC造以上・積算価格が出る(融資の担保価値がある)」を必須条件にされています。
しかしながら、最初に戻りますが不動産投資はある程度はまとまった資金(手持ちの現金)が必要であり、その資金が多ければ多いほど物件を購入するにしても金融機関から融資を引くにしても有利になります。ですが、多額の現金を持っている方は
ピラミッドの頂点近くを占めるごく少数の方のみ。多くの方は下層の手持ち資金が少ない中での収益物件投資を希望されてる方になります。
ですので、昨今の主流である「一棟RCマンション投資」がそもそも敷居が高くて出来ない方のほうが潜在的に多くいると考えられます。
そこでこの本の中では少額資金しか用意の出来ない方でも不動産投資を始めやすい「格安一棟アパート」購入を勧めています。
なので既にRC一棟派で不動産投資を開始してしまっている方よりも、今後始めて不動産投資を開始する方向けの内容であることを強調します。
投資スタイルとしては「都内かもしくは地方で、利回り15%〜20%以上回るアパートで、金額が1,500万円〜2,000万円のものを探して購入しなさい」ということです。
不動産は「担保価値よりも利回り重視」。1にも2にも収益性の高い物件であることが選定の基準になります。
そうなると必然的に築が30年〜40年経過した建物の耐用年数が残っていない
木造アパートがほとんどになります。
当然、そういった物件は見た目も悪く、市場の多くの方は見向きもしません。ですが、著者は「それが逆にいいのだ」と断言されています。
自己資金が少ない人間が、自己資金の多い人間と同じ土俵で争おうとしても勝ち目はありません。
だからこそ、資金が少ないなりに少なくても不動産投資で勝てる土俵を見つけることが肝心なのです。
それが前述の「築古高利回りアパート」という結論です。
当然に購入の時点では多くの物件はボロ物件です。それをどうやって高利回りの入居率の高い物件に再生させるのか?その回答が「リフォーム」になります。
現代のリフォーム技術の進歩は目覚しく、本当にボロボロのアパートが数百万円の費用でピカピカの物件に生まれ変わります。
その際にRC造や鉄骨造の物件よりも
木造アパートのほうがリフォーム費用が安く済むため、断然に有利であるそうです。
この「リフォームすることが購入の前提」にあるため、通常ならば多くの買い手に市場で避けられる
「再建築不可物件(法令の制限で建物の立て替えが出来ない)」
「瑕疵担保免責物件(古いので設備・躯体に不備があっても文句が言えない)」
であっても恐れることはなく、むしろ交渉で価格を安くしてもらえる可能性が高いから「買い」であると論じています。
さらに狙い目なのは「土地」に「築古のアパート」がおまけで付いてくる物件だそうです。
売り側は建物は役に立たないから「取り壊すもの」としか見ていないので、建物があっても「売地」として市場に出しています。
それはお得である可能性が高いそうです。確かに同じ物件を探しているライバルが自分以外に少ないことは確実です。
不動産投資はハイリスクだと誤解している方が多いのですが、本当にハイリスクなのはむしろ「株やFX」のほうで、逆にローリスクなのは「定期預金や国債」になります。
株やFXは短期的に多く利益をあげることも可能ですが、逆に短期の間に多くの資金を失う危険もあります。
不動産投資は手段さえ間違えなければ株やFXのように専門的にやらず副業として取り組んでも十分に利益をあげられる「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品です。
「プロの不動産屋」も購読をオススメさせていただきます。
株式会社やすらぎ代表として「中古不動産再生」に長年取り組んできた著者が
東日本大震災から日本の賃貸市場は急速に落ちるとして、
アパート経営に乗り出そうとする人を
止めさせようと書いた著書だそうです。
不動産投資を勧める著書は多いものの、同じ数だけ「するな!」という類の本があるかといえばそうではない。
何故か「勧める本は大量にあり、止める(警告する)本は少ない事実」。
利権か?お金か?それとも業界による圧力か?
真相は不明だが、この本では収支不動産賃貸業の未来に悲観的な予測をしています。
しかし・・・・・内容は
「今後の日本の人口減少」→「建築メーカーによる物件の供給の過剰」→「時間経過で増大する維持費」→「誰もがやって勝てるような市場ではなくなっている」→「だから賃貸経営なんてするな」
これだけで十分に説明が付いてしまいます。
これくらいは他の不動産投資本でも再三述べられていることなので、目新しさはない。
ちょうど同じ時期に逆に震災後に不動産は上がると説いているのが
大谷洋司氏の「日本の不動産 急浮上が始まる!」です。
内容的には大谷氏の著書のほうが全然説得力があります。
不動産屋社長でも「文章力はまた別」だった模様。
平凡で間違った内容ではありませんが、敢えて読むほどのものではなかったです。