初めて聞いた時から40年たつ。アナログ盤しか持ってなかったんだけど、今回のベルウッド40周年リイシューでCD購入。久しぶりに聞いた。子どもの頃、もしくは若い頃にこりゃスゲーと思ってたものでも年喰ってあらためて聞いたり、見たりしたら案外たいしたことねえなってケース、音楽でも映画や小説でもけっこうありがち。ま、もちろん逆のケースも多々あるんだけど、これはちょっとビックリでしたね。あがたの2作目、名盤だと一般的にも言われてるし、俺もそう思って聞いてたけど、数十年ぶりに聞いてみてここまでだったとは正直、思ってなかった。とにかく曲がいいし、当時、あがたはうたがヘタとか言われてたけど決してそんなことはない。バックは当時の気鋭のミュージシャンが気持ちのこもった演奏をしてるし、なんと言ってもアルバム全体のドラマ性が見事。ほぼ同時期の南佳孝の「摩天楼のヒロイン」と同様、松本隆のプロデュース手腕によるもの。作詞家よりこっちの仕事をもっとやってくれたらよかったのにと思うけど、その後の松本氏の収入考えたら正しい選択だったんだろうね。あがた森魚にしてもはちみつぱいにしても、当時ごく身近にいたものだから有難味も全然感じなかったけど、今にして思うとすごい連中だったんだよな。
赤色エレジーからいうと、40年近くになるんですかね。ずーっとあがた森魚師と共に昭和から平成へと生きてきた人間としては、感慨深いものがあります。”はちみつぱい”のメンバーやら、”ムーンライダース”のメンバーやら、過去のアルバムに参加した矢野顕子さんやら、入り乱れての懐メロ大会のようで、それぞれの時代を知っている者からすれば、涙なくしては観られません。みんな歳をとったなあ。でも、それを受け入れてこのDVDを観て僕らも頑張りましょうか!
製作時期を見たところ、小説が書かれて間もない、80年代末期から90年代初頭のころの作品でした。小説の書かれた時期とほぼ重なる時期の日本の町の様子がリアルタイムで映像化されているという感じです。
長い作品を映画にするとき、時間の枠があって、どうしても削除せざるを得ない部分があると思うのですが、この映画では、たとえ短くても、原作のエピソードを出来る限り入れようとしている意識がとても感じられます。原作を読んでいたら、「あ、この部分は、原作のあの部分を意識しているなあ。」ということに気づくところがたくさんありました。原作を読んでいなくても、何の違和感もなく、ストーリーの流れについていけます。
私たちが作品を鑑賞するとき、舞台となる時期を想像しながら鑑賞すると思いますが、映像を通してみていると、ファッションなど、「現在からの想像」では届かない当時の雰囲気がとてもよく伝わってきました。
白河まりあ役の
中嶋朋子さんの淡々とした美しいナレーションと共に、静かに進んでゆく物語が、美しい映像を通して自然に心にしみこんできました。つぐみ役の牧瀬里穂さんもかわいらしいし、陽子ちゃん役の白鳥靖代さんの柔和な表情もとても魅力的です。80年代末期から90年代初頭の雰囲気を味わいたいとき、ノスタルジックで穏やかな気分になりたいとき、にお勧めです!
1972年でレコードの時代ですから、あのサイズでこの林静一イラストはかなりインパクトがあって、只者ではない!感を醸しだしていました。思い出してみると人生で2番めに自分で購入したれコードアルバムだったんです。
これで、やられてしまい、今でも治りません。ずっーと、あがた師と共に人生を歩んできたような気がします。今見てもすごい豪華なメンバー!あがた森魚[Vo]、はちみつぱい(鈴木慶一[G/Vo/P]、本田信介[G/Mnd]、渡辺勝[P/Org/Acc])、和田博巳[B]、鈴木茂[G]、友部正人[Spoon]、遠藤賢司 ですからね。こんな丁寧な仕事をしてアルバムを作る人はいないですよ。