以前キングレコードから型番KICC64として販売されていた同名のCDを再発売したもの。以前のCDが廃盤になっていたため、1800円という安価で入手できるようになったのは嬉しい限り。
演奏しているのは
パリ音楽院サクソフォン科前教授のダニエル・デファイエ(1922 - 2002)。クランポン社製の楽器を使用し、独自の美音と卓越した音楽性で一斉を風靡した伝説的な名手である。このCDでも編曲ものの小品を中心に彼の美しい音色を堪能することができる。現
パリ音楽院教授ドゥラングルや日本の須川展也等々、現代の名手たちとの演奏の違いを聴き比べるのも一興。サクソフォンを吹く方なら持っていて損はない。
サックスと言うと、クラシック音楽以外で使われるのを耳にすることが多く、皆さんの音のイメージもそれによって固められているので、「こんな楽器(の音)がクラシックに合うのは特殊な場合だけ!」と思い込んでいるに違いない。
実際、殆どの現代奏者の音は、輝かしく艶やかで、軽やかで滑らか、手触りはいいかもしれないが、高音が目立ち、深みがない。
しかし、このサックスの原点に立つ、世界最初の名奏者、ミュールは、中低音が厚く、キンキンした所がなく、品格がある。音に深みがあリ、重厚と言いたい位だ。
フランスのサックス、という言葉からのイメージとは全く異なるのである。
イベールの協奏曲も、小品達も、本当にサックスがオーボエや
クラリネットの親戚の楽器としての音色を持ち、クラシックとして十二分に独り立ちできる(?)独自の確立した楽器であることを認めさせるような、素晴らしい演奏だ。この時代を象徴するモイーズやクライスラー、カザルスなどに何か共通の音世界、精神性を感じるのである。あるいは、まだ
ジャズなどの洗礼を受けていないせいなのだろうか?とにかく、SP時代の古き良き時代を象徴するかのような心のこもった音色、名演なのである。これには、心底驚いてしまった。サックスのイメージを一変させる、凄いCDである。必聴の名演と言えよう。
現在ミュールの後継者がどうなっているのか(おそらく今も伝統は
パリ音楽院で引き継がれているのだろう)、そしてこの音色を生み出す楽器がどういうもので、今とどう違っているのか、いないのか、クラシックと
ジャズ/ポピュラー系との違い・・・興味のある所だが、なかなかこの分野での情報は少ない。
GWともなれば、家人ども各々己が気儘な路行、泰西の春斯くやありなん、美味のほど斯くこそありけれ、なんぞ思案中なるべし。
御留守居役の大役なれば、家の守り手抜かり無からんと見渡ほどに、番
犬ならぬねむり
犬の糧、底尽きぬ。
されば超市場なる大廈にまいりて、彼は此処、其は其処あくがるれば時すでに午に至りぬ。
ようよう己が糧、なほ駄
犬の糧、見つけたればいとうれし。
ってことで、GW の午前中のスーパー人も閑散でデカい空間を再認識、BGMで今風の曲が流れてました。
ところが、冷凍物コーナーでは "Pastrale" の終楽章、オヤぁ!続いてビゼーですがな。
で、これ鑑賞にいたるってとこです。
von Karajan 帝の "L'Arlesienne Suite No.1"、"L'Arlesienne Suite No.2"、"Carmen Suite" です。
流れてたのは、なんと "Carmen Suite : Entr'acte 'V"、これ好きなんです。"L'Arlesienne Suite No.2 : Menuetto" もいいですけど。
さすがですよ、von Karajan 帝は、世評がなんじゃいってカンジ、雑魚どもかかってこいや〜、みたいな。
実際、質、量ともども、凌駕する同時代人皆無。やりたいことやるには、頭とるべしって実践した稀有な人、ゆえに「帝王」なのです。
この演奏も、佳き仕上がりにおわするぞ。
「獅子は小虫を食わんとてもまず勢いをなす」これぞ von Karajan 帝の面目躍如、なのだ。