本書は、雑誌BUBKAでの芸能人を題材としたコラム連載をまとめた一冊。
アイドル、女優、歌手、タレント・女子アナの4章に纏められた22人は、amazonの内容紹介で確認できるが、Sexy Zoneのマリウス葉以外は全て女性という点にも著者らしさが感じられる。
各項目は7~8頁の本文と1頁のマンガから構成されている。
この3年くらいで旬あるいは悪い意味で話題になった人達なので、ランダムに並ぶエピソードから2010年代を振り返るのも一興だが、やはり本書の楽しみ方は、実に丹念に題材の言動をチェックしている著者の「異常な愛情」っぷりだろう。深夜のベタな番組での他愛ないゲームでの佐々木希の一瞬の表情の変化から実に大胆な結論を導くあたりが面目躍如だろうか。
かつてナンシー関は6台のテレビとビデオデッキをフル稼働してテレビウォッチャーとしての揺るぎなき地位を築いた。そこには偏見や悪意とは違う客観的な批評・コラムが成立していた。彼女なきあとは、ネットの匿名と変わらぬ劣化した嘘ナンシーばかりが蔓延っている。著者も悪意の塊だが、その丹念な
調査と慇懃無礼な口調は独特のコラムとなっている。
好き嫌いが出る作品だが、新書だし軽いデトックスな1時間としては十分楽しめる。