著者はかつて、その政治力から文壇に天皇の如く君臨した人。殆どの政治家が死後、生前とはうってかわって一顧だにされないのと同様の運命をこの人も辿る。代表作のレビューを今もって誰も記していないというのが、厳然たる事実である。アーティストでもなければアルチザンでもない。政治家。文壇政治家の末路である。 といいながら、この短編集、じつはそんなに悪くもない。高みから見下ろして自己犠牲を怠っているのでもない。私小説的切り口で両親はもちろん、親戚までもさらし者にしている。親戚はいい迷惑だろう。
かなりの長編小説を残した丹羽文雄氏がアルツハイマーになり、その妻が脳血栓によるまだらボケになってしまったのだが、その長女、本田桂子さんの介護記録。1997年発行のエッセイ。 このエッセイ発表当時は丹羽文雄氏も奥さんもご在命のようである。
作家のように頭を使う仕事をしている人は、アルツハイマーになどならぬと信じていたので、ちょっとショックだったが、何人も老いや死からは逃れられないのだなと思った。 クラシックの楽器奏者なんかもボケとは無縁のように感じるが、アルツハイマーにかかる方もおられるんだろうなぁと思った。
両親のボケの初期には戸惑いや苦悩もあったようで、酒量も一時増えたようだが、根っからの楽天的な性格とちょっと抜けた所のあるのが(っとご本人がおっしゃっている)幸いして、前向きにアルツハイマーの父&まだらボケの母の介護にあたっていくのが読んでいても頼もしい感じがする。
作家であることも忘れてしまった丹羽文雄氏の奇妙な言動とそれに対する周囲の人々の絶妙な対処の仕方も思わず笑ってしまう箇所である。
日本はこれからものすごい高齢化社会になって、老人介護は深刻な問題だけれど、この本を読むと暗くなりがちな気持ちにも一条の光が刺すような明るい気分にさせてくれる。
老人介護を考えなければならない年頃の人には一読の価値ありである。
本書は敵艦隊奇襲のための戦闘航海中の艦内士官室での士官達の会話や、敵軍艦との戦闘場面を、自身も負傷しながら縷々書き留のた真迫のドキュメントで、是非一読をすすめたい。
約十年前に竹山逸郎の16曲入りベスト盤が発売されましたが、今回は21曲入りです。竹山逸郎の異国シリーズや隠れた名曲が収録されています。竹山逸郎の魅力を再認識できるヘスト盤だと思います。
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