どの話も色々なことを含めてすごいが、柴
犬はその中でもずば抜けていい。恥ずかしい臭いセリフで感動させるわけではなく、しっかりフリを効かせた内容で感動させられるってのはホントスッキリする。
最後に入っているヤクザの話はろくでなしブルースを思い出させる内容で、森田まさのりさんの作品が好きな人は買って絶対損はしないでしょう。
ストーリー漫画で「笑い」を描くという、とにかく難しい事をやろうとしている。4コマ漫画とちがって「間」をうまくとれないので、かなり大変だろうと思う。いまのところ主人公の「ネタ」では正直、笑えない。
が、たとえば161ページの弁当のところ、これは主人公のネタではなく森田まさのり独自の「ネタ」のおもしろさが炸裂していて、爆笑した。私は「ろくでなし〜」の頃からこの人のファンだが、これだよ!と感動してしまった。「ぶるーちゅ」などで全開していた独特の「間」の取り方である。一応は「乗りツッコミ」っぽいが、この作者の漫画ならではの味わいがあるのだ。
こういう漫画としての「ネタ」を上回る「笑い」をこの主人公が生み出してくれるのか、それとも、単に「お笑い」をテーマにした「努力・友情・勝利」の物語になっていくのか。実は両方!と高望みしたいところではあるが、とにかく今後が楽しみである。