随所に小技が効いているものの、まったくもってオオモノ感がなく、なぜこれが
芥川賞受賞作なのか理解に苦しむが、とにかくおもしろい。
「沖で待つ」もよいが、併録の「勤労感謝の日」がおかしい。語り手が、「野辺山氏」と見合いをする場面。
<野辺山氏は、あえて表現するとあんパンの真ん中をグーで殴ったような顔をしていた。あんが寄ってふくれた部分に水っぽい眼と膨らんだ
紅い唇がついていて、ほほが垂れ下がっている。[…]頭のなかではコイツトヤレルノカ?という声がする。うーん、極めて難易度が高い。>
こんなの多分電車の中で読んだらふきだして危険だし、もしあんパン食べながら読んでたりしたらあんこもはきだしてもっと危険だし、はっきり言って小説というよりは話芸に近いのだけども、最近小説と話芸の違いもよく分からないし、変にかちかちと硬い小説を読まされるよりこういう方が断然よい。『陰日向に咲く』とかが好きな人におすすめですね。
パッケージの気持ちよさそうな
内田有紀の表情に釣られて観たけど、心理描写が冴えわたる巧みな演出と、10年の歳月を実際の事件や出来事を背景に進めていくテンポのよいストーリー展開で、拾いもんの1本だった。
ちゃんとした婚約者がいてヒデとは遊びのつもりだった額子。額子に入れ込んで惚れ込んだ挙げ句にポイと捨てられたヒデ。その後、額子にある悲劇が訪れることで、別れはしたが、二人は傷だらけになった心を共有している。それを、額子を登場させず、堕ちていくヒデの姿を丹念に描写することで表わしているのが上手い。そのほうが、10年後の再会がただごとではなくなるもんね。
母親(浅田美代子)や姉、額子の母(古手川祐子)、翔子(白石美帆)、バイト先の料理屋の娘、ユキ(中村ゆり)など、ヒデを取り巻く女たちがみんなやさしい。男だって父親(小林隆)も親友(
池内博之)も、料理屋のオヤジも会社の上司も、みんなヒデの味方。ああ、それなのにアル中になってしまう「ばかもの」よ!
いっぽうの額子の哀しすぎる「ばかもの」ぶりは映画のキモなので自分で確かめてください。題名どおり「ばかもの」の話だけど、このばかさ加減は胸に沁みるし、金を払ってまで観る価値が十分にあると思います。
お気楽な学生が額子との別れをきっかけに奈落の底へ突き落とされ地獄を味わうヒデ役の
成宮寛貴。そのリアルな変貌ぶりと鬼気迫る熱演は見事。見直しました。ぶっきらぼうな言葉や態度とは裏腹に繊細な女心を隠して不器用に生きる額子役の
内田有紀。いい歳の取り方をして、いい女になったもんだ。今後の出演作が楽しみ。
決められた構図にクレーンを使って近づけていく、段取りがミエミエのカメラワークによるラストシーンと、映像からはく離している音楽さえ違ったものになっていたら星5つだったかも。惜しい!
曲はいいと思うんだけどインパクトが弱いかな!!ちょっと個性がなくなったような!誰かの曲みたいって曲が多い!!STARTはらしくていいと思う!!あんまりもともと曲少ないから逆にちょっとはマンネリ化してもいいような!!全部CD持ってるだけに期待しすぎました!それにしてもshelaの作詞にはいつも星が入るな!
寺島しのぶさんの演技がとてもよかった。彼女はこういう役にとてもむいていますね。全てを失った女、疲れない人生を送ろうと蒲田で生活。そして、出逢う男たち。ゆるい生活と言いながらも、パソコンでのメールがあったり、出会い系あったりで、現代らしい設定だなと思いました。この生活にはあまりあこがれませんが、、。のんびり気分は楽しめました。