鬼才・エリック・レッドの脚本を、ロバート・ハーモンが綿密に映像化した傑作。車を陸送していた若者は、偶然ヒッチハイカーを拾う。しかし、そのヒッチハイカーは殺人鬼で・・・。 ヒッチハイカーの殺人鬼と、若者の価値観を殺し合いという概念で括った作品であり、殺人鬼の動機や心理は最初から最後まで、映像で説明がなされている。殺人鬼役のルトガー・ハウアーの名演技によって、文学的な要素が更に拍車をかけている。 キャッチコピーで、「心臓急停止」が有名であるが「地獄に触れる・・・青春のエピローグ」「奴は死なない・・・地獄への道連れを作るまでは」があり、作品を良く表している。ラストシーンは涙。
ルトガー・ハウアーと言えば個人的には「ナイトホークス」(81)、「ブレードランナー」(82)、そして本作(85)の印象が強い名優だ。3作共、冷酷残忍な悪役ながら、何処となく哀愁を漂わせニヒルなカッコ良さを感じさせる雰囲気を醸し出している。(以降の作品にも持味として生かされているが。)
本作の主人公の青年ジム・ハルジー(C・トーマス・ハウエル)も偶々雨の中一人のヒッチハイカー、ジョン・ライダー(ハウアー)をハイウェイで拾ったばかりに散々な目に...。不気味で執拗に偏執的で目的も分からず、纏わりつかれる。 (ここらへんの要素が「激突」の影響が見られるようだ。)
ナッシュ(ジェニファー・ジェイソン・リー)が、トレーラーのトラック部とコンテナの間に縛り付けられ、警官隊の眼前で真っ二つに引き裂かれる場面は、直截的な描写が無いにも拘らず、観る者を戦慄させる。ライダーの得体の知れない狂気の雰囲気だけで観客側の想像力を掻き立てる演出手法が圧巻だったのである。
ナイフを突きつけられる恐怖、ロードゲームの様な遊戯的犯行手口、じわじわといたぶる異常な狂気感覚等、可なりの粘着系のシツコイ演出描写は見る人によっては不快であり、腹が立つ程ですらある。間違いなく人を選ぶ作風である。結末のオチは人によって感じ方が異なるタイプの物である。
前作(リメイクの原作)を知っているので、ついそのイメージで見てしまう。
ヒッチャーの一線越えた怖さというか不気味さが減り、現代風な無差別殺人者になっている感がある。 「なんでこんなに追い詰めるのか」という殺人者の素性が本当は気になるはずだが、 そんな当然な疑問が頭に浮かぶ事さえ許さない、あの狂喜さが少し足りない。 ある意味、本当にありそうな感じに収まったリメイク作品。
あり得ない狂気の殺人鬼を「ブレードランナー」、「ブラインド・フューリー」のR・ハウアーが怪演。 この殺人鬼”ジョン・ライダー”を軽い気持ちで車に乗せてしまったばっかりに恐怖体験する悲運の青年”ジム”を演じるのは「アウトサイダー」のC・トーマス・ハウエル。 ジムが逃げ込んだレストランのウエイトレス役には「初体験リッジモント・ハイ」のJ・ジェイソン・リー。 この娘がジムを助けようと手を貸してくれるのだが 忍び寄るジョンの魔の手がせまり・・・。 とにかく、殺人鬼ジョンの執拗かつ狂気の追い込みが怖すぎる!ことごとく悪い方へと導かれるジムも悲惨だが、彼らの行く先々で巻き込まれる人々も超、悲惨だ。 警察署を全滅させるのには「ありえねー」と思ったが・・(ターミネーターじゃあるまいし)。 恐怖を煽るような見せ方も上手いですね。 ・・なぜジョンが殺人鬼と化したのか不透明な部分を知りたいと思うところもあったが テンポ良くSTORYが流れていくのでラストまで滞りなく楽しめた。 不気味で不死身っぽいこのテの悪役にありがちな設定に「やっぱり」的な展開も見られるが それでも引き込まれるのはルトガーの超絶な怪演が観る者の心を掴んで離さないからだろう。 彼はこういう役にドンピシャにハマる魅力を持っている。 「ブレード・・」しかり「ナイトホークス」しかり・・・。 冷酷で残忍な”悪”のイメージが強かったので洋画版”座頭市”の「ブラインド・・」を観た時は感動しましたねぇ・・優しい顔に(笑)。 途中でジムが耐え切れず自ら死のうとするシーンがあるのですが ジョンの執拗な追い込みはソレほどまでにハンパないのです。 そういえば外国のニュースで逆パターンの事件を聞いた事があります。 運転手がヒッチハイカーを殺しまくる話・・・ ”ヒッチハイク”という日常に実在する題材を取り上げ そこで起こりえる恐怖を極限にまで見せつけたこの作品、見知らぬ人を乗せる事が出来なくなる 疑心暗鬼な一枚です(笑)。
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