第14回メフィスト賞受賞作ということで購入しました。
古処誠二さんの作品は他に「ルール」を読んだことがありましたが、
本作「アンノウン」についても期待を裏切らない大変面白いミステリーでした。
コーヒー好きで冷静沈着な
調査班朝香二尉(監察官)が、
少々真面目さには欠けるものの、行動力のある野上三曹を伴って隊内の事件を解決します。
まさに自衛隊版の「相棒」のような作品です。
自衛隊という組織に起因する習慣や、特徴的なルールに基づくトリックが展開され、
平時における自衛官の葛藤や不安もストーリーに絡めて描かれています。
読んだ時期的にも、トリックやサスペンス要素に加えて心動かされた内容でした。
朝香、野上コンビで続編が出ているそうなので、そちらも読んでみたいと思っています。
南西諸島の孤島の空自の通信基地。僻地のため司令自ら地域住民との交流を重視し良好な関係を保っていた。そこでおこった小銃消失事件。
調査部のコンビが送り込まれる。事件は外敵にさらされても法規制により何もできないことに不満を感じた若手が問題提議のためにあえて起こしたものだが、自衛隊自体のアイデンティティの矛盾がその根源にある。サイドストーリーとして在日韓国人と旧軍、自衛隊の関係も語られる。エンタメとして一定レベルの上に、重いテーマに挑んだ意欲作。Bの上。