屋根の上の魔女―武富健治作品集 (CR COMICS DX)
掃除当番はすぐ見つかりましたが、こちらは宣伝が少なく刊行にきづかず、おまけに書店にもなかなかおいておらず購入・探索とってもてまどりました。まぁ版元がJIVEだしね〜。オタ系の本屋ではすぐあったものの、あんまり売れてなさそうでした。鈴木先生とセットでビレバンとかにおいたほうが売れ行きよかろうよ。
全作品の主要キャラを新しい絵で書き下ろししてくれる武富流サービスは掃除当番に続き、本書でもあり。こういうの好きなんでうれしい。特にこの人の場合、今の絵がかなり好きだし。
本作は虫愛ずる姫君の個性と鈴木先生と同じキャラクター「鈴木ショウ」を使用している面食いショウの孤独(・・・すごいタイトルですね。)なんかが見所でしょう。スターシステムで出てるとのことですが、絵柄がかなり違うので・・一目で同一人物とわかったら天才です。
ガイバーみたいな絵柄なんだよ(わかる人いるのか)
つか鈴木先生のフルネーム初めて知ったよ!屋根の上の魔女も鈴木先生出てますが私はミステリーたいして好きでないのでどっちでもよかったな。
まだまだ自己満足感が強い作品群ですが、虫愛ずる〜あたりはかなり完成度が高くどんどん武富先生がメジャー感をつよめてきてることがわかります
しかしこの人の作品のまさに同人(誌がつかない感じ)感はほんと昔のガロみたいですよね
サイトがあったことがとても意外です。
鈴木先生 9 (アクションコミックス)
お世辞にも上手とは言えない絵と教育漫画ということから敬遠していた作品ですが、一巻から今巻までを読み進めてみてその評価は一変しました。
語られる内容は教育の範囲に止まらず人の価値観、倫理観、人間関係の複雑性など深いテーマを扱っていてどのテーマも誰でも一度は聞いたこと、考えたことがあるようなものばかりです。
それ故に誰もがそれに対する答えや考えを既に持っていると思います。
しかし、この作品を読んでみて今まで私が考えていたものとは違う考え方や価値観が多くみられました。
最初は所々の内容の意味を理解することが出来ませんでしたが何度か読み返し、考えることで理解することが出来ました。
『なるほど』と思わせる考えや『それは違う』と思わせる考えまで様々な考え方があり、読み進める程にのめり込んでいきました。
この作品は字数も多いし、絵もあまり上手とは言えない。
しかし、それ以上に深く考えさせられる作品です。
ただ内容を受動的に受け入れさせるのではなく読者に考えさせるという作者の意図が感じられます。
個人的にはとても有意義な内容ですので☆5つです。
鈴木先生(3) (アクションコミックス)
舞台は中学校。主人公は思索的な先生。
優等生ばかりひいきにする先生をひがむとか
誰も僕をわかってくれないと泣き叫ぶとか
出てくる中学生はやっぱり子供。
そういう子供、周りの大人びた同級生、先生がやりとりして、
みんな少しずつ成長していく。
成長しないまでも、未熟なところを自覚していく。
大人(30代)の自分にも当てはまるようなこともあって
ドキリとすることもある。
心の機微や心理学的なものが好きな人にはお勧め。
鈴木先生(11) (アクションコミックス)
ドラマ放映が始まる少し前に色々な事があって、そのこと事体今でも全て解決したわけじゃないし、耐えるしかないと思ってる。
でも、関係ないのにわかり易い噂とか自分に都合のいい解釈で人の話も聞かず説教、慰め、糾弾してくる人達に、友人(と思ってた?)までいて、今までの人生は何だったのかと憤りと失望でグチャグチャになりそうだった。
そのせいかドラマにやたらと惹きつけられて、それが最終的に「鈴木裁判」で嘘みたく解けた感覚を覚えてる。
それだけに不安があった。ドラマの反響で有名になり、更に踏み込んでいる原作が一部のフレーズや描写のみ取り上げられたりして、作品の中で生徒達が心配する様な事が現実に起こってしまうんじゃないかって。
鈴木裁判のあとそこにいた全員が口を硬く閉ざしたのは、その「議題」や「内容」は、その裁判の“肝心なこと”を学んだ生徒とか理解者ではなく、理解していない第3者に伝わると歪んだ形で広まりやすいという事がわかっていたからだけど、それはそのままこの作品にも現実的に起こる可能性があるので。
エピソードにもあるけど、一環してこの作品に通じる一つのテーマでもある「酢豚」の論理。
今の“風潮”ではこの作品は「酢豚」であり、同じことが起こるんじゃないかと「心を救ってくれた作品」だけに心配してた。
今でも若干不安だけど、原作が完結してしばらくたったのでちょっと安心。反響が広がってこの作品が歪んで取り上げられて、今は“風潮”が極端に反対側に振れやすいしファンの人まで偏見にさらされたり。
―――と作者でもないのに勝手に心配したけど、ここのレビューやTV東京のドラマサイトの掲示板などを見る限り「捕らぬ狸の」だったかも。
まぁ、どちらにもそれぞれ質の違うアプローチで一部その“第3者のお手本”みたいなカキコミもあるにはある。
でもそれはそれで逆に“鈴木クラスの生徒が心配した事”が始まるきっかけを見事に現実に再現してくれているなぁ。と面白く読んでしまった。
おかげで自分を正当化したいだけで、他人の価値観を否定する人は、その拠り所の頼みの綱であるマジョリティーでありたい為に都合のいい部分を誇張する傾向がある事、自分に起きた事は人のそういう心理が原因だとあらためて学べた。少し経験率上がったかな。
もしかして、鈴木先生のクラスに対する実験は、そのまま作者の社会に対する実験だったりして。
いずれにせよ“おりにふれ”読み返したい素晴らしい挑戦と作品をありがとうございます。
鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)
この作品はとにかくぶっ飛んでいます。
1冊1冊読むのに、心の中は大暴れです。
ギャグもありますが、ギャグとは違う大爆笑ができました。
人間の、漫画の、知性の可能性を感じる作品です。
心の中にあるもやもやしたものを実体化するような。
人間関係の隙間にある心の壁を砕くような。
あまりハードルを上げて読むのも良くないですが、
この作品がかなり素晴らしい物だということは間違いありません。
女の友達に貸したら、主人公が嫌いだって言ってました。
好き嫌いがあるのかもしれませんが、
この作品があること自体、「希望」に近いと感じています。