ああ探偵事務所 13 (ジェッツコミックス)
この作品、主人公が無類のホームズマニアと言う特殊でアレなキャラクターで、物語の根幹にも、このホームズが在るわけですが、13巻はそれが色濃く出ています。
別れさせ屋の泉さん視点で進むエピソードは正にそれ。
涼子さんの出現によって妻木との関係が希薄になってしまった泉さんが、ホームズマニアの女の子を食い物にしている男を別れさせる仕事を、妻木にやらせて何とか妻木を自分のものにしようとするエピソードなのですが、作者として、そろそろ展開に刺激を与えたいんでしょうね。
そろそろ最終巻が近いのか、やりたいようにやっている感があります。
ホームズが好きだから、妻木の女関係を整理しておきたかったから、涼子さんとの関係で邪魔になる松本を体よく退場させたかったから……そんな感じの一巻です。
最初の頃よりも、最近は波に乗ってきたのかな……と感じていただけに、この流れは最終巻を意識した作りになっていると思います。
作画に関して、この人の描く女性がとても素敵ですし、コマ割とかもこなれているし、もっともっと続きが気になる―――という作家さん。癖がなくて好き嫌いがあまり出にくいと思うので、表紙が気になった方は1・2巻を買って読んでみるのをおすすめしたいです。
ああ探偵事務所 DVD-BOX
ヤングアニマルで今でも連載中の人気探偵マンガの実写化。最初の数話は原作にもあるが、ひとひねりしてある。その後は原作に元ネタは見えるが基本的にはオリジナルである。
川島なお美の大家さん、辺見えみりの泉さんは原作のイメージに近くベストな配役。東幹久の松本刑事は原作と違って3枚目の役柄だが、ドラマ独特の「ドタバタコメディ」色を出すのに大いに貢献。さすがに名前のある人たちである。話が進むにつれ川島なお美の存在感が際立って目につくようになり原作の設定とは全くの別人になってしまうし、役を演じるというよりご本人の性格を地でいっている感があるが、これはこれで面白いのでよい。それに押されて主人公の妻木役の永井大と涼子役の酒井若菜のキャリア不足が最初のうち目に付くのだが、回数をこなすうちにそんなに癢a感がなくなってくる。ドラマでの妻木はかなり泥臭いが、これも原作というより永井大のキャラであろう。原作では重要な役割を果たす茜ちゃんが単なる子役にとどまっていることと、ペンギンのイワオが出てこないのは残念だが、それを求めるのはちょっと贅沢に過ぎるか。
全体的に原作のイメージというより、脇役(土田晃行やウエンツなど意外なゲストもあり)を含めて、「俳優さんの個性が明らかに勝った印象」だが、ちょっと一癖あるそれぞれの俳優が織り成す「テレビ色豊かな」作品に仕上がった。笑いあり、感動あり、お色気あり。まとめると、「これはこれで味わいのある作品である」。
買うかどうかの決断のポイントは、原作というより俳優さんに対する思い入れに関わってくると思う。
ああ探偵事務所 10 (ジェッツコミックス)
何となく買ってみてそのまま買い続けてきた作品、この作品は他の探偵ものにはない魅力を感じました。早く次の巻が読みたくなる作品ですね。
探偵の妻木は暴走したり時折凄い推理力、行動力を見せてくれる(主に暴走気味)からお気に入りです。
ああ探偵事務所 15 (ジェッツコミックス)
ひょんな所からこのシリーズの事を知り読み始めましたが、素晴らしく完成度の高い作品なので愛読してました。もっともっと続いて欲しかったなあ、残念、というので星一つ減です。
着地の仕方としては愛読者の期待に応えたうまい着地だったと思います。涼子さんよかったねえ。
笑いあり、感動あり、サスペンスあり、お色気も少しありのサービス精神が見事に発揮された本当に面白い作品ですから是非1巻からお読みになる事を強くオススメします。読んだ後気分が良くなります。
それにしても本当に終わり?ちょっと休んでからでいいから続編書いてくれないかなあって、それは読者のわがままかな?
ああ探偵事務所 14 (ジェッツコミックス)
今回のああ探は、13巻の巻末の予告どおりに「過去最悪」と銘打った事件……と言いたいところですが、物語的にはそれ程のインパクトでは無かった気がします。
涼子さんと妻木の関係が少し前進した点と、松本刑事との絡みは面白かったですけど、次々と殺されてゆく探偵とその犯人に関しては、それ程のインパクトは……撃たれた妻木と言っても、結局はああいう展開になるのは分かってしまう話の流れだったし。
これなら前の事件の方が面白かったかもしれません。
ただ、やっぱりああ探は、細かい笑いの要素が面白いので読んでしまうんですよね。まあ買い続けてしまったので今回も買ったと言う側面は否定できませんが、買い続けてしまう程度の面白さはあると思います。
常に常人とは違う大胆な妻木と、胃をキリキリとさせる涼子さんの物語も佳境に入ってきた現在。最終話に向けた前ふりの一冊とでも言うべき今巻も、やっぱり買いの一冊でした。