赤々丸 (1) (fukkan.com)
日本で一番絵の上手い女性漫画家だろう。バイク等のメカもこなす(アシスタントが書いてるんじゃ無いよね?)上、荒々しいタッチの中に宿る繊細さは、多数の女流漫画家に見習って欲しいくらいだ。
ただこの人、話をまとめるというか、人に分かるように説明するのが多少下手で、筋的に消化不良なのは否めないが、この赤々丸とブームタウンはお話的にも面白い。ま、自分的にはその荒さも好きだったりするんですがね。
表紙の絵がむちゃくちゃ下手に見えるけど、中の上手すぎる絵を見たら多分ぶっ飛ぶと思うよ。とにかくこの素晴らしい絵(しかもこの人は、それをちゃちゃっとスピード感あるタッチで再現している)を見られるだけでも幸せ。
残念なのはこの人寡作(しかも超が付くほど)な上に、最近マックで書くようになったこと。こんな素晴らしいタッチを持っているのに、わざわざマックなんかで書かなくても……。
聖者の異端書 (C・NOVELSファンタジア)
大賞の方の作品は描写が詳細で分かりやすかったのですが、それを補うだけのオリジナリティをこの特別賞を受賞した作品から感じました。大概、自分は小説の著者がえがく文体に惹かれて書籍の好き嫌いを判断しており、この本は江國香織さんの「きらきらひかる」を読んで感じた衝撃以上の新鮮な何かを私に教えてくれました。圧倒的に「好き」の部類に入ります。個人的見解ですが、大変おもしろかったです。この方の次回作がでれば、再び手に取ると思われる、それだけの魅力ある作品でした。