断罪された「医療事故隠し」―都立広尾病院「医療過誤」事件
この医療事故は、当時大きくテレビ新聞で報道されていた
奇しくも以前、婦長として働いた経験のある、思い入れがつまってた病院での、
たかがリュウマチ治療での医療事故死、それも入院した翌日の悲劇
看護師、病院経営陣の杜撰な労働体制の実態が、詳細にわかる
驚いたのは、真実を証明するのに、裏側でこれだけの証拠集めや準備が必要か、又
病院、都、そして国との交渉が、いかに困難を極め、ハードルの高い作業かということ
読み進めると痛感し、唖然とさせられる
それでも信念を貫き、最後に勝訴を得たのは、故人の無念を晴らしたいという気持以上に、
家族、親族の絆の深さや愛情の強さではないだろうか
故人が、いかに素晴らしい家庭をつくったかが、著者(故人のご主人)の文面から読み取れる
勝訴の決め手となった痛々しい腕の写真と、生前の楽しく幸せに包まれて過ごした写真が、
家族のヒストリーに一層深い悲しみをおぼえる
一市民の生命より、経済優先の社会の縮図がこの本にも垣間見れる
何より、綿密な調査記録が圧巻でした
看護師、医師、経営陣はもとより、病院で勤務する人すべてに教科本として役立ててもらいたい一冊