Hangable Auto Bulb (WARPCD138)
1995年に出されたトラックのCD化。
1995年のUKミュージックシーンは、Goldie(MetalHeadz)の台頭からJungleからDrum'n'Bassに移行していった年である。
そんな動きの中、AFX(Richard D. James)なりに解釈・昇華した姿が、この作品の音に現れている。このことは、"Custodian Discount"で感じ取れる。下敷きは同じかも知れないが、実験的であり独創的な音作りをしている。誰にも似ていない。それは、彼が"1人1ジャンル"であるからであろう。
個人的には、Richard D. Jamesの楽曲名に"Everyday"と題されているのは衝撃的である。彼の毎日は、このような音のように切迫しているのだろうか?本人が表現しているのだからそうかもしれない。かなり謎である。
また"Children Talking"でのMashed potatoesというサンプリングには、子供が言葉の意味に囚われず、言葉の響きだけで連呼してしまうところを表している。
もしかしたらこの点が、彼の音作りの大きな要素だと思う。
興味深く面白い貴重な1枚であることは、間違いない。
Ufabulum ,from UK] (WARPCD228)
その昔自作ジャズにはまっていて、「そろそろ付き合いきれないな」と感じていたころに発表された「My Red Hot Car」。
「そろそろロックバンド路線も変わんないかな?」と思い始めたころに発表された今作。そして1曲目の「4001」!
同じくらいの衝撃を受けましたよ!
本人も言っているようにかなりエレクトロニカを意識した今作。
やっていることは「Ultravisitor」と大して変わらないかもしれないですが、使っている音や、音の処理がかなりエレクトロニカより(音質にキラキラ感を出しているというか)。
そしてなんといってもジャケット!
フランス人の二人組の格好と何故かかぶってます(文字通りいろんな意味で)。まさか知らないはずもないと思うので、かなりの悪意を持って同じような格好をしているのだと思いますが(こちらのほうがよく見ると安っぽそう)。
いずれにしても、これだけのキャリアがあって今もコンスタントにアルバムを発表して、その都度進化できている(たまに失敗もありますが)トム・ジェイキンソンってヒトは凄いと思います。
古くからのファンにも最近のファンにもおすすめです。
Hard Normal Daddy (WARPCD50)
2ndアルバム 『 HARD NORMAL DADDY 』 、おそらくスクエアプッシャーとしてはもっとも有名かつ定評のあるアルバムで、自分もスクエアプッシャーのアルバムとしてはコレが最初でした。 テクノや、とりわけドラムンベースという音楽は激しくてクールなイメージの強いジャンルですが、スクエアプッシャーの音楽は、時に切ないまでにメロディアスで叙情的です。
まずはブルース・リーの影が見える "COOPERS WORLD"。 初めて聴いたときは特に感慨もなく、むしろ変わった曲だぐらいにしか感じませんでした。 しかし魅力的な打ち込みと美しい旋律に取り憑かれましたね。 なかでも好きなのが "BEEP STREET" の低温なシーケンスの美しさや "MALE PILL PART 13" のような機械的なリズムと、急転して後半の感情あらわにしたグルーヴ感との対比の美しさが、自分の待つ常識を覆してくれました。
Ultravisitor [解説付き国内盤 / スペシャル・プライス / リイシュー盤] (BRC328)
Aphex Twinらと並び、テクノ界の革命児Squarepusherの問答無用の最高傑作!!!
どのアルバムを聴いても思うのですが、とてつもなく多彩で豊かなサウンドです。
長尺曲から短い曲、ライブ音源まで。音楽のジャンルもテクノやエレクトロニカから、
アンビエントにドラムンベース、ラップに彼お得意のジャズ、さらにはクラシック・
ギターまで…、幅広過ぎです…。そして実験的。
これでこのアルバム全体の統一感、漂うメランコリーと儚さ、脆さ、
全てにおいて芸術として完成された作品だと思います!!!散漫としてないのも凄い…!!