北杜夫 ---追悼総特集 どくとるマンボウ文学館 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)
なだいなださんら、北さんをよく知る各界の著名人をはじめ、さまざまな立場の方が、北さんへの愛と追悼の意を表した、追悼特集。
兄の茂太さんと、北さんが兄弟で行った対談が載っています。ここで、茂吉のことを、どんなふうに呼ぶか、と論議しているところが面白い。北さんは「茂吉は・・・」と言い、兄の茂太さんは、「親父(おやじ)」と呼ぶ。北さんの心の内が伝わってきます。北さんは、兄の茂太さんのことも、ちょっと遠慮して呼んでいますね。おもしろい。
北さんのはすべて読んできた、と思うくらいなのに、まだこうした、未見の文書が出てくるあたり、ちょっと貴重で、おもしろい本です。
北さんのご冥福をお祈りいたします。
どくとるマンボウ昆虫記 (新潮文庫)
35年前、中学一年生のときにうまれて初めて買った文庫本がこれだった。たしか200円だったかな。たいした期待せずに買ったのだが、夢中で読んだ。昆虫に関するエッセイはいろいろあったが、これほどマニアにも響く本はない。この本を読んで、それまでは蝶しか興味がなかったが、一気にさまざまな昆虫に関心が広がるとともに、小説を読むきっかけになった。それ以来、文庫で買える北杜夫の本は中学2年のころには読破して、それから様々な小説を読むようになった。いまだにトーマスマンを読むのも,この本を読んだ影響だろう。昆虫に関する記述は正確で、幼少時の思い出を語る叙情性はすばらしい。
マンボウ 最後の大バクチ (新潮文庫)
北杜夫の書いたものは、小説はもとより、エッセイ、評論、バカ話等々何でも読んできたが、その文章の美味さはまったく変わりなく、今でも安心して読めるので嬉しい限りである。
「北杜夫」ファミリーといおうか、「斎藤茂吉」ファミリーといおうか、とかくこのファミリーほど日本人に知れ渡っている一族はない。父親斎藤茂吉は高名な歌人だったし、母親輝子はこれまた有名な旅行家だった。兄貴は、作家で精神科医の茂太、娘はサントリーの広報部員でものかきの斎藤由佳。
本書は、北杜夫氏の若き日から作家デビューの頃、その後の交遊録等々を端々に、ファミリーのギャンブル紀行の顛末を中心に書かれた北氏の躁病闘病記(!)である。
友人の作家連中のエピソードがなかなか面白い。曽野綾子女史のギャンブルで稼いだカネの使い道とか、星新一氏の夫婦そろっての"ナメクジ"度合いとか、笑わされるところがあるかと思いきや、倉橋由美子さんのしんみりとした思い出、そのほか遠藤周作氏、宮脇俊三氏とか、既に逝去された方々への思い出とか、とかいろいろある。
しかし、我らがマンボウ氏は、表紙の写真に現れているようにまだまだ意気軒昂なギャンブラー振りではある。
アラビアンナイト シンドバッドの冒険 [DVD]
手塚治虫が好きだったのとディズニーのアラジンの日本版みたいなものかな?と気になり見たところ、とっても面白かったです。
ピノキオやトムとジェリーに似ているなというシーンもあるんですが、絵が美しく台詞など全体的に上品で好きです。
アラジンと比べるのもおかしいかもしれませんが、私はこの作品の方が好きです。
特に終わりの方の洪水のシーンにて、シンドバットがお姫様たちを助けたくても水の力はどうすることもできず神様に祈っているシーンが印象的でした。
人間の力では解決できないこともあるというところが自然な流れで好きです。
黒澤監督の時代劇に出てくるような凛とした日本の姫という感じのお姫様が登場します。
中学生頃はアラジンのジャスミンに夢中になりましたが、30代の今となってはこちらのお姫様が好きですね。
この映画をきっかけに他の東映の長編アニメ見てみたところどれも面白くて驚きました。最近古い作品にハマってます。
私が子供の頃はアニメの映画といえばジブリやディズニーくらいしか知らなかったから、こんな素敵な作品が日本で作られていたなら子供の頃に出会いたかったです。