仲道郁代/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 VOL.1)ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番~第3番
はじめはあまり期待していなかったが,聞き始めて1分もしないうちに引き込まれてしまった.すばらしい音色,フレーズの歌わせ方に心がこもり,慈しむように流れていく音楽.驚くほどテンポがゆっくりであるが間延びすることなどなく集中.かといってぴりぴりしていない.ベートーベンにこういう表現と弾き方があったのか.しばらくピアノ音楽に無機的なものを感じていたところで出会った心温まる表現に感動した.本当に驚きました.いいCDです.
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第3番 [DVD]
ホームシアターで鑑賞していますが画質、音質ともに最高の逸品です。
元々がハイビジョン用、SACD用に撮ったものなのですばらしいです。オーディオが趣味でクラシックを聞き出したこともありこの盤に出会いほんとうに幸運だと思っています。
演奏もバランス感覚に優れ抑揚がきいていてとてもいいです。この曲はブレンデル盤をはじめ何枚かCDを持っていますがそれら名盤と比較しても遜色の無いものだと感じました。ピアノの音がオケより若干強めに感じられますが私的には好ましい収録です。仲道さんの美しさも演奏に花を添えています。
価格が若干高かったので購入を躊躇していましたが早く買えばよかったと思っています。
ショパニズム
待ちに待った仲道郁代の最新作!長年弾き続けたショパンの名曲。ベートーベンのピアノ・ソナタ全曲演奏を経て、原点回帰したショパン。初の練習曲も、気負いなく軽やかに演奏。再録のバラードも、さらに磨きがかかっている。
CDでわかる ベートーヴェン鍵盤の宇宙
「当時のピアノの復元楽器を使って、楽譜の指示通りにこの楽章を弾いてみると、和音の濁りが微妙に変化し、不思議な音響効果が生まれました。ベートーヴェンのペダルに関する奇妙な指示を難聴のせいにする人もいますが、逆に耳が聞こえにくいからこそ、楽器の響きや倍音に敏感だったのかもしれないと思います。後期になればなるほど、精密になっていくペダル指示は、響きへのあくなき探求を物語っています」。
ベートーヴェンがのこした32のピアノソナタのうち8曲と「エリーゼのために」を取り上げ、それぞれの曲が作られた背景と共に、鮮やかにポイントを色分けした譜面の分析とCD演奏を照らし合わせながら作品の解説を行っている本。複数の執筆者で分担して書かれている。オールカラー。写真やイラストが多く含まれている。
スコアの解説はかなりわかりやすい。一方、CDは美人ピアニスト仲道郁代の全集からのもの。演奏は見事なのだが、残念ながら全て楽章ごとの抜き出しであるため楽曲解説の範囲が部分的にしかカバーされていない。結局他の奏者の全曲集を代わりに使った。
「ベートーヴェンは私にとって、音楽という広い宇宙の核」と言う仲道郁代が、当時のピアノのレプリカを使った演奏体験やピアニストの視点からのコメントを述べている部分も有意義だった。冒頭の引用はその一部。ベートーヴェンが作曲で使用したピアノは主に以下の4種類と考えられ写真付きで紹介されている。時代とともに広がったオクターブやダンパー・ペダルなどの構造の違いがこの作曲家の仕事に与えた影響についても言及されている。
・シュタイン、ヴァルター(5オクターブ)
・エラール(5オクターブ半)
・ブロードウッド(6オクターブ)
・シュトライヒャー、グラフ(6オクターブ半)
後半ではこの巨匠の人生を紹介している。この部分は比較的月並みな内容ではあるけれど、いろいろな人物の肖像画写真や当時の資料がたくさん載っている点が良かった。
CDでわかる ショパン鍵盤のミステリー
「せき込むような短調の旋律が、中間部で一瞬のうちにやわらかい長調に転調する、ショパンならではの匠の技です」「たった一音のちょっとした変化でふわっと色彩を変えてしまう。こんなところにもショパンの美意識を感じます。1拍に入る音符の数が右手と左手でちがうのも、ショパンお得意の技です」。
ピアノの詩人といわれるフレデリック・ショパンの人生と作品について解説した本。オールカラー。著者は美人ピアニストの仲道郁代。著者自身の演奏による70分超のCDが付いている。
第1部の楽曲解説は13曲。楽譜が引用されポイントが色づけされていので、とてもわかりやすい。作曲の背景やその頃のショパンの境遇についても書かれてある。また、それぞれの曲について「ピアニストの謎解きエッセイ」というコーナーがさらにあり、冒頭で引用した部分とか、非和声音の効果的な利用といった、演奏家ならではの視点が披露されている。加えて、ソナタ第3番作品58ロ短調は4楽章だけなのが残念ではあるものの、解説で取り上げられている作品については全てCDに演奏が収められているので耳でも確認できる。これらによって、複合的な視点からこの類まれな天才が残した作品への理解を深められるように構成されている。それ以外の作品についても簡単な概要説明がある。
写真や絵が豊富なのも特徴である。エラールとプレイエルという2種類のピアノは写真付きで比較がされているし、当時のピアノの80鍵の音域をいっぱいに使って書かれたという「舟歌」の解説では低音部と高音部を異なるペダルで操作できるというプレイエルの特徴が実際のダンパーの写真で確認できる。
第2部は、ショパンの人生について。紹介されている内容自体は普通だが、ここでも絵と写真がたくさん掲載されているのが嬉しい。冒頭には人物関連表や略年表と用語集があるし、巻末にはショパンゆかりの地がWebサイトのURL付きで紹介されている。なかなかよく考えて企画されている本だ。