ガンズ系アメリカン・ハードロックが好きなら一聴の価値はあると思います。アルバム内容は、どれも聴きごたえのある佳曲ぞろいとなっています。錚々たるゲスト・ボーカル陣が各曲のクオリティを極上に仕上げてくれていますし、さすがスラッシュですね、個々のギタープレイにおいても、安定した「引力」を感じられるでしょう。
ただ、何度も繰り返して聴いたあとの感想はというと、ちょっとトーンダウンなんです。全体的にみると、魅力的な曲が同列に並んだ「ベストアルバム」のような味わい。さらに、よくよく各曲にフォーカスし直してみると、参加アーチストとのコラボレーションにおいて、これはじっくり煮詰めた結果だとは思うんですが、期待したほどは「冒険」がないわけです。「アペタイト〜のスリルを求めて聴くと裏切られる」という意見が多いとすればそういうところかも。あのアルバム(アペタイト〜)は別格だと思います。何度聴いても、何度目でもノック・アウトされますからね。
大御所コラボの宿命として、楽曲自体の奇抜さ/斬新さを追求するものではないのだとすれば、せめて「全曲ファーギー」とか「全曲オジー」とか、そういうアドベンチャーを見たかったかもしれません。ファンのわがままではありますが。
再度書きますが「一聴の価値」はあります。なんだかんだ言っても、このアルバムを「聴かない」っていうのはもったいなさ過ぎると思いますよ。
タロットにおける0のカード"The Fool"”、ニュアンスは違えどもこれに似たタイトル"The Idiot"は、ゼロから出発しなければならなかった当時のイギーポップその人の様で非常に好きな表題です。通して聴いて顕著なのは、喉を痛めつける絶叫型の歌い方から、地声の、豊かな響きのある低いトーンを活かした唄法への変化と、サウンド自体の変化でした。激しいロックンロールから、多彩な楽器と音響効果を使った先進的ポップサウンドへの乗り換えに成功しています。出だし2曲の抜群なファンキーさが気持ちよく、鉄琴が異国情緒を出している”China Girl”には、イギーらしい破滅的な浪漫と自身の麻薬耽溺を匂わす二重の意味が込められているようで、生々しくも切ない編曲が見事の一語。長い最終曲は80年代的な音の先取りをした大曲として、電子音楽らしい本作の特徴を凝縮させた印象深いエンディングを成しているように思う。
全体的な印象として、代表作の一つ"Lust For Life"以前のリリースであるにも関わらず、不思議とこの作品の方が「前時代性」を感じさせない新しさがある気がします。それがたとえD.ボウイのセンスによる部分が大だったとしても、イギーの魅力を増すことはあれ減じるものではなく、この忘れ難きソロデビュー作のコラボは今も眩しいばかりです。
曲良し、歌いっぷり良し、演奏良し、おまけにジャケまで最高の間違いなくイギー・ポップの最高傑作の一つでしょう。ほとんどの曲がデヴィット・ボウイとの共作ですが、それが良と出たようです。全曲名曲ですが、やっぱり感情を抑えるようにして歌う TONIGHT がベスト・トラックでしょうか。イギー・ポップならとりあえずコレだと思います。
ヘロイン中毒の主人公が仲間たちと自堕落な生活を送る話。
音楽や絵的なノリは非常にカッコよく、センスを感じるし、
ドラッグによる混乱状態や、禁断症状による妄想の映像などは
なかなか独特で魅力的だが、ストーリーとしては
それほど感じるものがなかった。
熱狂的なファンも多く、世間では評判の高い作品だが
人を選ぶ作品ではあると思う。
登場人物にあまり感情移入できず、
話の筋としても特別ひねった部分はない。
実を言うと、このDVDが発売当初店頭に並んでいたのの見て、正直興味が湧かなかったんです。 だって、古い曲ばかりだし、”Skull ring"が1曲入ってるけど、それが?てな感じだったんです。 まさか!The Stoogesが再結成しているとは、夢にも思わなかった。(涙)
1曲め”Loose"2曲目”Down on the street"は、わりとIggyのライブでは定番で、この面子での演奏は、なんだか音数が少なくて迫力がなく、なぜ、いま再結成なのかな?と苦笑ぎみだったんですが、3曲目”1969”のRonのギターリフが始まった時に、これだ!と飛び上がりました。 まさにStooges!”ワウワウのきいた”単純なギターのリフレインに絡む、おどろおどろしたドラム!彼らのマジックの始まりです。 アメリカの大地にしみ込んだネイティブアメリカンの呪いのような、どろんドロンのギターとドラムの織り成すグルーヴに絡む、Iggyのシャウト。 ”I wana be your dog""TV eye"に続く”Dirt"では、もしかして、Iggyは、かの昔のように自らの肉体を割れたビンの破片で切り裂くのではないかと、はらはらしたものです。
会場の雰囲気も、かつてデトロイトのみで人気のあったHome Band、The Stoogesを暖かく、しかも熱を帯びて迎えている感じでGood!ステージに客を上げる場面も、どこかしらホームパーティめいていて、楽しげでした。 Iggy自身も、昔のひよっこみたいな肉体ではなく、たくましく鍛えあげられた御年うん十歳の充実したパフォーマーとして、本当に気の狂ったように暴れ狂います。(You can dance like Iggy Pop!)
ボーナストラック、ニューヨークでの、ドラム、ギター、IggyのオリジナルStoogesによるインストアセッションもとってもよい! 本人による曲の解説付きで、もし、いまから、仲間同士なにか集まって音を出したいと思う方々がいらっしゃれば、まさに必見!インスパイアされるものは大きいと存じます。
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