CDも勿論だが、分厚い解説本は情報量が極めて多く、武満の曲に関心があり、要するに好きな曲がいくつかあり、CDを持っていて、これから他の曲も聴いてみよう、演奏しようと思っている方なら、思い切って購入する価値がある。特にこの第一巻は、武満トーンの中心、オーケストラ曲であり、最も重要なレパートリーが全て含まれている。
この聴きがいのある全集は、外から見ても美しく、時間をかけて未知の音楽を紐解いて行く楽しみがある。
もちろん、価格が高いと言ってもCDを一枚一枚買い集めることを考えれば、断然お買い得で、決して後悔することはないだろう。
このCDには、尾高惇忠の「オルガンとオーケストラのファンタジー」(世界初録音)、私とほぼ同年代の細川俊夫の「ヒロシマ・シンフォニー」(世界初録音)とともに、武満徹の映画音楽「乱」と「波の盆」が収められている。尾高と細川の曲が最初と最後で武満作品はそれに挟まれている。尾高の曲は編成から判るように、オルガンの壮大な音楽に圧倒される。反して、細川作品は、比較的静かに、しかも緊張感を湛えた曲です。間に入る武満の「波の盆」は、涙が出るように美しいメロディです。ライナーにも、指揮者が涙ながらに指揮しながらコンマスを見ると、彼も涙ぐんでいたそうな。確かに、この18分の組曲は、とても美しいメロディで、感動します。素晴らしい!武満作品の映画音楽にはまり込みそうです。
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