Autechreが時代の先端をいく打ち込み音楽をリリースし続けて早20年。
彼らの「音」から影響を受けたアーティストは数知れず。
ビョーク、レディオヘッドしかり、あまりに多くのアーティストが影響を受けているためにあげきれないくらいだ。
ついには『コンフィールド』という、極めて実験的な音の連なりから出来ている不思議な傑作アルバムをリリースして、Autechreはその活動の頂点に達した。
しかしそこから先の道行きは極めて困難なものだった。
ライブでは相変わらず好調であったが、アルバムとなるとどうも今ひとつインパクトにも面白さにも欠けるという印象のアルバムが続いた。
実際はAutechreという大看板を外して聞けば、それなりの作品なのだが、Autechreという名前は常に斬新な進化を要求され、彼らはそれにこたえていかなければならなかったのだ。
本作は5枚組・約5時間40分のEPセレクトアルバムだが、当然のことながら頂点に達した時までの曲なので、非常に聴き応えがある。
アヴァンギャルドでありながら、音楽としてのジャンルを超えた面白さがあるので、初めて彼らの曲に接する人にもうってつけだと思う。
自分でも何かデスクトップミュージックを作ってみたいと思わせるような実に楽しいアルバムといえるだろう・・・。
The Chase (Smooth Mix) Night Drive (Time, Space, Transmat) が◎。
リマスター→良好
愛想が無く、複雑で予想がつかないながら、実は冷淡なまでに秩序だった
リズムと、かすかに聞こえるメロディ、そしてその奥から湧き上がる
計り知れないエモーション。セルフタイトルにふさわしい、充実した内容で
す。
実験性の高いユニットですが、この作品は今までの実験性の集大成のような
内容で、むしろ安心感があります。EP7と並んで必聴!
ベッドに入って、月明かりの下、まったりと聞く、贅沢。 たまらぬです。
Autechreのシングルのみから選曲された「47曲」ということであるから、かなりの聴き応えがあるのは間違いない。 彼らが発表してきたシングルはいずれも出来がいいので、質の面では全く問題は無いだろう。
そして重要な点は「1991年〜2002年」という時期の曲であるということである。 ほぼ10年前までのAutechreの曲がセレクトされたアルバムというのも、リスナーにとってはそれはそれで嬉しい。 というのもAutechreの活動の絶頂期までの曲が収録されているからだ。 しかし見方を変えれば、ごく近いうちにこの後の10年間のシングル集が出る可能性も高い。
Autechreは実験的傑作『confield』の発表で頂点を迎えたが、あまりに革新的なアルバムを作ってしまったので、その後に発表されたアルバムたちはいつも「『confield』より革新的かどうか」というモノサシで判断されるようになってしまったのだ。 Autechreのメンバー自身も「自分たちが何をしているのかわからなくなっている」という言葉を雑誌のインタビューなどにも語っていた。 しかし、ここ最近の活動はリズム重視のかたちに戻りつつあり、今後の活動にも大いに期待できそうな気がする。
本作に話を戻すが、5枚組で5時間40分もある。 最初期の貴重な音源も入っているので、Autechreの進化の過程がはっきりとわかることだろう。
問題は「日本盤」を買うか、「海外盤」を買うかということだが、今回は「日本盤」としてのボーナストラックは一切なく、日本語の解説文がついているという差なので、「日本盤」と「海外盤」の差額を「日本語解説文」で満足できるかどうかの選択になってくる。 価格は変動するので、一概には言えないが、「海外盤」の方が常に安いことであろう。
あとは個人のお好みでどうぞ・・・。
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