木村盛世 商品

木村盛世 厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書)

前作よりも今回はH1N1-Swine Fluの実際をreferした分だけ読みやすくなった。第1章は新型Fluと厚労省迷走記、第2章が著者が鋭く指弾する「行動計画」、第3章はSwine Fluの初動体制、追跡調査、学校閉鎖、マスク、タミフル、ワクチン等々具体的な公衆衛生学。第4章は疫学の基礎知識という著者専門分野。記述内容は非常に難しい。第5章は「これからのインフルエンザ流行に備えて」で良く書けている。ただ本書は良い点と悪い点との混在が非常に残念だ。まず本書は第3・4・5章で出版すれば良かった。一方で第1章は相も変わらず著者自身の不遇、検疫所と本省の人事、医系技官の危機管理能力のなさ、臨床経験のなさ、公衆衛生学のプロ不在につき舌鋒鋭い批判を展開する。第2章は御用学者との馴れ合い、医系技官のコンプレックス、無意味な空港検疫等々、あたかもTVタックル出演発言の如く続く。検疫所ポストは左遷ポスト、いるのは上司と衝突した組織の問題児、精神的に問題の人間、出世街道を捨てて定年間近職員の集まり、キャリアとノンキャリの違い、本省ではない検疫所採用事務官の昇任の限界等々の表現は、我々読者は正直言って聞きたくない。著者は本省中途採用とのことだから検疫所の職員にも失礼だろう。巻頭に「本書を亡き恩師、Dr.George Comstockに捧ぐ」としているが博士も聞きたくなかったはずだ。それより著者の専門性から、これからの水際作戦と危機管理と国内同時対応をどうすべきか、「行動計画」はどうあるべきか、公衆衛生学のプロ養成の最善策は何か、検疫法や感染症法がダメなら、危機管理感染症法をどう立法化すべきか、地方自治体に任せ柔軟な対応可能な体制作り、バイオテロ、生物化学兵器、人類滅亡への道、こういうissuesについてより膨らませて聞きたかった。次回は是非に「著者自身の不遇・不満」、「医系技官と公衆衛生学プロ養成」、「危機管理」等に分冊しての出版を期待する。 厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書) 関連情報

木村盛世 辞めたいと思っているあなたへ

これまで著者の第1作、第2作を読んできて、久々のブログで公務災害申請と見て状況を察した。厚労省の組織、人事、運営に対する強い批判は、日本の旧い体質組織に身を置いてでは、著者自身も精神的に疲れ切るのは当然だろう。厚労省内部の多くの問題点、不芳な対策、体質、「国民を考える、より良い厚労省に」という強い思いは貴重だが、どんな組織も簡単には変えられない。抗いながらの単身のもがきは自身が惨めになるだけだろう。ここは同志を増やすか(単独行動は無理)、言動を変えるか(強硬な態度は逆効果)、方策を立て直すか(組織内では自ずと綿密な作戦が必要)と思われる。第1作に「関係部署の仲間と連携が構築されてきた」とあったはずだが・・。著者は某名門女子大附属の小・中・高から筑波大/医卒、Johns Hopkins Univ.公衆衛生大学院修士課程修了、Delta Omega Scholarship受賞、Dr.HendersonとDr.Comstockに師事した。誇りの華々しい経歴だ。しかもWHOでの仕事が希望だった。それが何故に(財)結核予防会結核研究所の誘いに乗ったのか?、「望んで入った訳でない」厚労省に何故に入省したのか? 統計情報部ICD室から東京検疫所、更に東京空港検疫所支所という人事異動に対し、何故に辞表を出さなかったのか? 本省から東京検疫所に異動人事は背景に何があったのか? その辺りをもう少し聞いてみたい。本来著者は米国で就職か、或いは結核予防会か厚労省を早目に見限り、実力発揮可能な先に転職があったはずだ。「上司の支所長は3歳年下で、自分(著者)の方が専門性あり」、「どうして私の上司なのだ?」と、組織でそれを公言してはおしまい。無能な局長や上司を公に非難するのもやり方次第だ。米国の研究室とは違うだろう。おかしい、改善をと思ったら、組織だから持って行き方が重要だ。極端な言動は避けるべきだ。ところで本書内で読者に対して、自分を褒めてもらう機会を増やす、自分の考えを認めてもらう、それには親友や恋人が大事と記述がある。私も同感だ。今晩TVタックルにて、久々に出演の著者が穏やかな表情になっていたのには安心した。 辞めたいと思っているあなたへ 関連情報

木村盛世 厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日

厚生労働省に限らず、国家公務員には我が身の保身ばかりを考え、自分から動こうとする人間は少ないと聞く。与えられた仕事は堅実にこなすのだが、工夫して前向きに進めるようなことはしない。「寄らば大樹の陰」と安定した環境にどっぷりと浸かって、決してリスクを伴うかもしれない前例のないことはしない。それが多くの国民のために成るとしてもだ。この本はこうした悲しむべき傾向と平和ボケしている現代社会に警鐘を鳴らしている。バイオテロは実際に私たちのすぐそばまで迫っている。国をあげて水際で防がなければならない。やや遅かったきらいも無きにしも非ずだが、、大いなるタイムリーヒットであることに間違いがない。この時期にこの書を世に出した著者に敬意とエールを送りたい。さらに続編を世に出して欲しいと切望している。(千葉市美浜区、槙眞人) 厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日 関連情報




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