天童荒太 商品

天童荒太 悼む人〈上〉 (文春文庫)

いろんな読み方ができると思うのですが、やはり”死者を悼む”行為と旅に、読む側の感想もその延長線上の見方になってしまいます。読んでいて印象に残ったのが静人の”悼ませていただく”という言い方です。”悼んでいました”でなく、”悼ませていただいていました”という言い回しです。これは全体に作品のもっているスタンスがよく伝わり、効果的だと思いました。最も身近で最も愛する人の死を彼はどうやって悼むのでしょう。後半、母巡子の最後の日々が丁寧に描かれていますが、その「悼み」は読者に委ねられました。それ程起伏のある展開でもないし、ラストに向かって突き進んでいくような勢いがあるわけではないのですが、不思議と止まらなくなり、一気に読み上げてしまいます。それだけに私は巡子の悼みまで見せてほしかったと思います。 悼む人〈上〉 (文春文庫) 関連情報

天童荒太 家族狩り ディレクターズカット完全版 [DVD]

北山宏光さんが好きで見始めたのですが…原作ももちろん、問題提起のドラマとして素晴らしい作品だと感じました。それぞれの家族のカタチと理想と現実が、リアルにもどかしさと共に描かれています。答えは出ない問題に、向き合うことを避けがちですが、答えを出す出さないではなく、向き合い考え悩むことが大事なのだと感じました。シリアスなテーマと展開の中に、クスッと笑える瞬間もあり、まさにリアルな日常を切り取っている作品です。北山宏光さん演じる、けいとくさんが陽だまりのように温かく、ほっこりしました。北山宏光さんのファンでなくても、楽しめる作品ですし、原作ファンの方にもオススメしたいです。 家族狩り ディレクターズカット完全版 [DVD] 関連情報

天童荒太 家族狩り ディレクターズカット完全版 [Blu-ray]

※ネタバレあり!第9回山本周五郎賞受賞の小説は評価高いけど過激な暴力描写が賛否を呼び、それをどうやってドラマ化するのか、期待半分、不安半分で視聴。TBSはドラマ化の構想に実に7年も費やし、2014年の現代に設定を置き換えて再構築した。感想としては「うまくまとめたのでは」という印象で、それぞれの崩壊した家族の葛藤、苦悩も手抜かりなくきちんと描写してたし、ドラマ的な魅力はそれなりにあった。ただ、当初は松雪泰子が家族惨殺事件の疑惑の人物としてストーリーが進んでいき、なかなか興味深かったけど、途中から違う方向に話が向かうので興味が薄れたのも事実。犯人の財前直見と藤本隆宏が崩壊した家族を来世で再生させる「粛清」という名のもとで惨殺を繰り返す身勝手な犯行動機にはびた一文共感できるものではなかったが、彼らの凶行が主要人物の人生観、家族観を変えさせ、向き合わせているというストーリー展開は、重いけど考えさせられるものがある。しかし、個人的にはこういう重苦しいドラマを最後まで見続けるのはしんどい。視聴者の評価は異常に高いけど(ちょっと褒めすぎな感もするが)、世間はこんな陰惨で重苦しいドラマは敬遠し、不倫ドラマとキムタク検事に夢中だったようで視聴率は苦戦。そのためか、最終回は駆け足でエピソードを回収していった感じがどうしても否めず、前半のゆったりもっさりした展開に比べ明らかに妙な違和感を感じた。これはちょっとマイナス。とはいえ、ぬるま湯なドラマばかりが作られる中でこういう題材に挑んだTBSのチャレンジ精神、心意気は買いたい。 家族狩り ディレクターズカット完全版 [Blu-ray] 関連情報

天童荒太 永遠の仔 DVD-BOX

中谷渡部のケイゾクコンビに、椎名と石田の主役級4人の超豪華メンバー。虐待と隠されたテーマがキーワードとなるヒューマンサスペンス。現在と少年時代が交互に描かれ、女性連続殺人の真相と、今に影さす過去が徐々に明かされる。巧妙なミスディレクションが重要な真実をベールの下に隠し、重厚なエピソードが織りなすストーリーに最後まで目が離せない。中谷は過去にとらわれながら、弟や母の幸せだけを思い、また看護師の仕事に没頭し他人の役に立つことで何とか自分の居場所を保っている。愁いを含んだ笑顔が美しい。渡部と椎名にとって中谷は心の支え。少年時代のあだ名はモール(もぐら)とジラフ(キリン)、そのあだ名の由来が彼らの過酷な運命を物語る。石田は和服の似合う小料理屋の女将、椎名を受け入れようとする姿は女性的な魅力にあふれる。4人の様々な気持ちが交錯し、誤解や相手を思いやるがために起きる過酷な運命に翻弄される。本来頼るべき親から受ける暴力を、子供は通り過ぎるのを待つしかできない。それでも親を愛さずにはいられない子供の心が悲しい。過酷な仕打ちに耐える姿は涙なしに見られない。心の闇に触れる重いテーマの問題作だが、親子兄弟友人が支え合う姿が描かれる。中谷の弟が執拗に「秘密」を知ろうと母に迫る姿に、触れられたくない過去が暴かれる嫌悪感を催すが、最後に姉を思いやる弟の気持ちに、姉弟の美しい姿を見ることができる。少年時代実の親に見捨てられ、養父母にも反発していた椎名だが、養父母を横浜に招待するエピソードでは、平凡な養父母が注いだ親の愛が語られ、和解する姿に救われる気がする。椎名の「俺は似たかったですよ」に涙があふれた。 永遠の仔 DVD-BOX 関連情報

天童荒太 歓喜の仔 (幻冬舎文庫)

この作者のさくひんは、どれも、日常からかけ離れた、物語を、読まされる、もちろん小説ならどれレもそうなのだが。永遠の仔で驚き、悼む人で、感じ考えさせられたと同じように、この作品も、驚かさせられた、世間から突き放されそうな人間の日々の業や行いが、ひしひしと伝わってくる。 歓喜の仔 (幻冬舎文庫) 関連情報




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