童話作家、安房直子さんの作品集です。 「きつねの窓」はなんとなく覚えていたのですが、 数年前に「さんしょっ子」を劇仕立てにしてラジオで放送していたのを聞いて、 とても感動したので購入してみました。
宮沢賢治や新美南吉ほどの知名度はありませんが、素晴らしい童話作家だと思います。 特に面白いのは、普通の感覚とは少し違う不思議な日本語の遣い方をしていることです。
例えば「ぱらりと両手をおろして」「月日がのろのろと」「うっとりとかなしくて」 「さやさやと走りだしました」「こっくりと、青い色」「ふうわりとうかんで」 などなど、不思議で可愛らしい表現がいっぱいです。
話の内容は決して楽しいものではなく、なんとなく寂しく悲しいものが多いです。 空想の世界に逃避するのではなく、誰の身にも降りかかってくる可能性のある 不幸や悲しみを優しく表現することによって、独特の世界を展開させています。 そして、わかりやすい物語の背後に「恋」「死」「喪失」といった深いテーマが 隠されています。だから、大人が読んでも面白いのだと思います。 そして、読んだ後には心の中に「人間として忘れてはいけない大切な事」がしっとりと 伝わってきて優しい気分になれます。
なんとなく息苦しくて、生きにくいことばかり多いような世の中ですが、 「なんでも人のせいにしたり、他人をいじめたりする」ことから救ってくれるような 素晴らしいお話がたくさん詰まっています。
もっともっと、安房直子さんの作品が読まれるようになるといいなと思います。
踊ることが大好きなのに、なかなか上手になれない女の子。 そんな彼女のものと、1足のバレエシューズが届きます。
呼ばれるように、女の子は森に行き、大きな桜の木の中でバレエシューズをつくっている「もりのくつや」に出会います。
そこで、バレエシューズを作る手伝いをし、最後にたくさんのうさぎのバレエ団と楽しく踊ります。
でも、クライマックスははっとさせられる内容になっています。
切なくて、でもすごく嬉しくなる、そんなお話です。
なんとも幻想的で、ふしぎなオーラのある色彩と、可愛いキャラクター、そしてずっと心に残るストーリー。
私は小学生のころこの本に出会いましたが、ずっとずっと大好きで忘れられず、今は私の本棚の一員です。 女の子らしい、可愛らしい世界観に永遠に惹きつけられると思います。
働き者で、寡黙なだんまりうさぎのところに、ある日元気な女の子が遊びに来るところから お話が始まります。ゆったりしただんまりうさぎとせっかちな感じのおしゃべりウサギの対比 がおもしろく、子どものころ何度も読んだ、思い出の本です。 長い間探していましたが、ようやく購入できました。あらためて読み直して、暖かい気持ち になりました。1年生の娘も気に入って自分で読んでいます。
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