むかし見て気に入った映画ですが、音楽を車でも聞いてみようとおもい調べたら絶版となり中古でもかなり高額になっていました。
結局それは
オークションでたまたま定価くらいの値段で落札できましたが、映画版のほうもうかうかしていると入手困難になると思い購入しました。
65インチの液晶TVで再生しますが、DVDでは映像的に見劣りするシーンもあるかと思います。
やはり情報量の多いブルーレイですね。今後はさらにテレビも4K化していきます。
大画面の4kテレビに買い換えたときに、むかし見た映画を見ようと思っても絶版になっていたら悲しいですよね。
安くなった今これは自分のベスト映画と思うのがいくつかあればDVDとかぶってもブルーレイ版を買っておいた方がいいです。
アイルランドの農家に生まれたレイモンド・バリーが英国貴族として成り上がっていくさまを描いた一代記。「虚栄の市」のサッカレーの原作をキューブリックが映画化したもので、
アカデミー賞の
美術監督・装置賞、撮影賞、衣裳デザイン賞、編曲賞を受賞している。18世紀のヨーロッパがキューブリックの徹底したこだわりの中に描かれ、ストーリー以上に映像と音楽に圧倒される。
3時間を超える大作であり、全体として見ると決してサクセス・ストーリーではない。ある程度の我慢が必要な作品かもしれないが、断片的に見ると非常に面白く、惹きつけられる。ライアン・オニール演じるバリーは、初恋の相手である従姉妹を巡る争いがもとで故郷を追われ、七年戦争に参加して実力を認められたかと思うと軍隊を脱走してプロイセンの軍隊に身を寄せる。戦功をあげてプロイセン警察のスパイとなるが、二重スパイとして同郷の詐欺師と行動を共にし、欧州を回るうちにレディ・リンドンと出会って結婚し、社交界で成り上がっていく。
バリーはそれほど才覚に秀でているわけでもなく、その行動も行き当たりばったりなのだが、運命が彼を放っておかない。運命に身を任せて漂流していくところが、他力本願の私自身にとっても感情移入できるところで、彼の人柄には共感できないものの、ついつい彼の運命を追いかけてしまう。しかし、最後まで見終わったときにカタルシスは感じられなかった。出世欲は強いものの、そのために枠の中にはまるほど素直ではなく、自分が望んでいる立場を手に入れるために束縛されるというジレンマをバリーは生きている。そのため、成功したように見えても幸福感は感じられず、バリーの末路も描かれていないので、見る側としては最終的な「落としどころ」も見当たらないのだ。
さすがはキューブリック!と思わせながらも、徒労感がないでもない。