~アメリカ生まれながら、学問的造詣に裏打ちされたバロック音楽の演奏・解釈の第一人者となったスコット・ロスのスカルラッティは音楽の自由な息吹を感じさせる好演である。
オルガン奏者として出発したことが、多彩な変化をみせる音色に現れている。
様式感のしっかりした、それでいて学究一辺倒でない、楽しい音楽にあふれている。
スカルラッティはピア~~ニストによる演奏を聴く機会も多いが、ロスの十八番といってよく、その芸術を知るきっかけとして特にお薦めできる。~
私が学生だった頃、レンタルビデオ屋で何十回もレンタルした「ゾンビ」は、後に「米国劇場公開版」(127分)と呼ばれるものだった。
「ゾンビ」との出会いは、テレビ放映版で、テレビ放映版の元となったバージョンは、
後に「
ダリオ・アルジェント監修版」(119分)と呼ばれるものだったので、
「何これ、私の知ってる「ゾンビ」じゃない!」
と、大層驚いたものだ。
本商品は、後に「ディレクターズカット版」(139分)と呼ばれるバージョンで、ずっと後年になってから視聴した。
本バージョンが、「米国劇場公開版」を作成するに当たって、租編集された「たたき台」であることを知ったのは、さらに後年となる。
本商品の「うたい文句」はこうだ。
「日本劇場公開版より24分もの衝撃シーン追加の世界最長完全版!世界初リリース」
「日本劇場公開版」は「
ダリオ・アルジェント監修版」が元になっているが、
日本で劇場公開するに当たって、「ゾンビがなぜ誕生したのか」の「疑問」に対する、勝手な「回答」の追加と、
ゴアシーンの一部カット等の加減編集が行われていて、実際の上映時間は115分である。
したがって、本バージョンと、「日本劇場公開版」との時間的な差分は、139分−115分=24分となっている次第。
しかし、この「日本劇場公開版」+24分の追加シーン=本バージョンという計算式には誤りがある。
なぜなら、「日本劇場公開版」と本バージョンには、前者が後者に完全に包含される関係が成立していないからだ。
それに、比較対象を「日本劇場公開版」とする点も誤っている。比較対象とすべきは、「米国劇場公開版」であって、
「うたい文句」は次のように書かれなければならない。
「米国劇場公開版より12分も尺が長い、長尺・租編集版!世界初リリース」
本商品が、世界初リリースであることには素直に驚いた。2013年12月にブルーレイでリリース予定の本バージョンも世界初リリースであり、
日本人の本バージョン好きにも素直に驚かされる。
本バージョンは1999年に初めてDVD化され、廃盤になってから大変なプレミアがついた。
1999年には「
ダリオ・アルジェント監修版」もDVD化されているが、廃盤になっても、さほどのプレミアはつかなかった。
本バージョンの人気者ぶりがうかがえる、と同時に、本バージョンを視聴すれば、「ゾンビ」の全てが堪能できる、という誤解があったことも分かる。
本バージョンを「世界最長完全版」と呼ばれれば、誤解のひとつもするのも無理からぬこと。
こんにちでは、DVDで本バージョンが、普通に発売されていて、
本バージョンを、スクィーズ・ワイド
スクリーン画面(1×1.85)、高画質、高音質に加えて、
日本語吹替が搭載されたDVDで、簡単に視聴することができる。
そして、2013年12月にはBDで本バージョンがリリースされる。
だからといって、本商品の価値が下がることはない。何故か?
本バージョンはDVD/BD化に当たって、レイアウトの都合上、フィルムの上下がカットされている。
つまり一見、画面比16:9対応の、大型テレビの大画面で、本バージョンを堪能している心算でも、
実際には、画面から受ける情報量は減っているのだ。
VHSビデオにはそうした「小細工」がない。
したがって、当然ながら、本商品は処分できない、という次第。
本商品の末尾には、
・海外オリジナル予告編(アメリカ版)
が、収録されている。
われわれが内に秘めたる破壊本能と社会規範からのエスケープ願望に裏側から強い光を当てた人類風刺劇。たとえこの世が終わろうとも生者には非道と略奪の、そして屍者には腹を満たす愉しみがまだ残されているという毒舌ぶりがいい。映画の本心は食人鬼による恐怖描写より、むしろモール攻防戦でのエネルギーの中にあると思えるのだがどうだろう。その根拠としては、乗りこんだ暴走賊の蛮行を追いかけるカメラと編集、ロック・サウンドのノリノリ感が、他のどの場面よりも映画を面白いものとしてみせていることがあげられる。銃を毛皮をキャンデーを、かっさらう手のなんと愉しげなことか。モールは消費生活を送る者にとっての代案としてのユートピアであるから、そこを舞台に設定するとは痛烈なブラック・ジョークだ。それらのひねくれ反り返ったトーンが人類の愚行を暴き、皮肉たっぷりにこちらの鼻先へぐいぐいと突きつけてくるところが本作の魅力となっている。
映像の品位はそれほど高くはないが大画面再生もなんのこれしきの好画質。解像感など充分に満足のいくレベルだ。ただし、濁った色調や光線のうす曇りは時代が生んだカルト・カラーとして大目に見たい。5.1ch選択時にもあえてフロントのみの2chで鳴らす方が、後からつけた音場感のわざとらしさを軽減できてよいだろう。一方、テンションの高い吹替劇はゴブリン・サウンドと相性がよく、値うちのあるドラマとなっている。若い時代の石丸の芝居がクールだ。吹替音声での視聴であれば星5つ進呈。