時代の運命に翻弄されながらじっと生きた民子の姿が余りに哀しい。主人公たちを取り巻く自然の美しさが筆舌に尽くしがたい。
風景の美しい描写がすばらしい。古い風習によって初恋が壊させる様はなんともやりきれないが、心の清らかさが美しい物語を作り上げている。
一気に読み切りました。とにかく引き込まれるお話です。純情なる二人の愛の描写がすばらしい。
私は聖子嬢よりも年齢は上で当時はファンでもありませんでした、唯一 奥さんが聖子世代ですが。 独身の時、TV映画劇場だったと思いますが、何気なく見ることとなり何も考えず見ていました 聖子嬢もとても若く、初々しい演技がぎこちない様にも見えますが歳相応で返って民さんらしさを感じました。 原作者の伊藤左千夫はもともと詩人でしたが「野菊の墓」を出版した際、夏目漱石が その内容を絶賛したと聞きます。 その原作が良いのもあるのでしょうが、この映画も いつの間にか引き込まれて行きました。
ロケは風光明媚な群馬県甘楽町で撮影されたそうで、綿畑 ナス畑のシーンなど とうもろこし畑で民さんが「一の谷のいくさ破れ打たれし平家の公達哀れ〜」と 「青葉の笛」を歌うシーンは聖子嬢でしか撮れなかったのではと思うほど歌が上手です。 また婚礼の行列のシーンなど残雪の山並みをバックにし当時の時代背景をうまく 再現しています。
木の下で昼食のおにぎりを食べるシーンは長野県の大峰高原でワンカットだけ七色大カエデの 近くにあるアズキナシの木で撮影されたそうで随分と贅沢なものですね。 他に叙情的に撮影された、夕日のシーンがとても心に残り儚い物語を美しく描いています。
ベテラン俳優が脇を固めていて、重い演技が二人を取り巻く当時の環境を自然に表現しています 特に病弱な政夫の母 「きく」役の加藤治子さんの名演技に涙を誘われない方はきっといないでしょう 各場面に流れるメロディーも考えられていて演出、映像、内容ともに良く出来ていると思います。
遠い昔、民子と共に見た夕日・・・ 年老いた「政夫」が「民子」の墓に野菊を手向けるラストシーン 「花一色」が流れる瞬間、もう涙が止まらなくなってしまいます!
幸薄い哀れな「民子」の生涯を回想する悲しい物語ですが唯一の救いは 「愛する人を思う気持ちは年月を経ても とても尊い」と思える映画です。 「民子は僕の写真と僕の手紙とを胸を離さずに持って居よう 幽明遥けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ(原文)」
この映画作品の良さを知らない方が多いと思いますが、私は高評価に値すると思います。 単なるアイドル映画だけでは無く、真面目に作られた良い作品です 当時はVHSの録画でしたが、今はDVDを購入し何度みても心が顕われるようです。
今回このCDを購入してとてもよかったと思います。昔教科書で学んだ幾つかの歌も、このCDの朗読を聴いていると新たな発見が必ずあります。 それと知らなかった歌も突然その味わいに驚くことがあります。今回当たり前かもしれませんが、いかに与謝野晶子が天才であったかを知ることが出来ました。若い皆さんにはとてもお勧めできますし、私のような中年ビジネスマンにももってこいです。毎日通勤の車の中で何度も聞いています。聞くたびに深くなる味わい・・きっとあなたにも新たな出会いがあるはず・・。もっともっと知りたくなる・・そういうきっかけを与えてくれるCDです。
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