猫十字社さんの「小さなお茶会」などの、ほのぼのとした作風が大好きです。あまり作品を量産化される作家さんではないので、手に取ることができてラッキーでした。ちょっとシニカルで、なんだか懐かしくて心がほっこりします。
巻頭収録作、モームビジュー、宝石の女。に再会した驚きと喜びは大きかったです。
この作品を読んだ頃、自分は幾つでしたっけ。取り敢えず小娘とも言えないような子供だったけど
妙に魅かれ、ちーともコミックにならないので雑誌を切り取って保管していたような記憶があります。
なんというか怪しくもデカダンに満ちた、魅力的な作品です。
パリの背徳、入り混じるシノワズリ。古い
フランス映画そのものの雰囲気を持つ作品です。
他にも少々時代が古くなった系のレディースな作品はいいとして、
心を閉ざして
猫(人外のもの)になっていた女の子が、上京して生きている。という作品があり
ラストの、人間に戻りつつある少女が故郷に向かう、バスからの風景を描いた大ゴマが良かった。
都会にはない、真っ暗な夜空。更に黒い、高い山々。低い場所に蟠る数多の街明かり。
その闇の空を疾駆する、魂の救い主たる獅子達の姿には泣けて来ました。
大げさでなく、本当にこちらまで救われたような気分になったのです。
それから兎のそらやが主人公の、ファンタスティックなのに微かにダークな連作群。
心の裏側。誰もがこっそり守っている部分に触れて来るようなお伽噺的世界観もまた、素晴らしい。
こちらにも獅子は一種の癒しの化身として現れます。気のいいオッサンみたいなお獅子です。
多分、人の煩悩を喰う、その獅子達が集まり桜を咲かせ、天に昇って行くCG合成を含んだ絵の美しさよ。
漫画の絵そのものに感動したのは初めてです。壮大にして清冽。最早一枚の絵画作品でした。
本書には、全体にちょっとだけ重いものの、ラストには必ず重さや痛みを一切払拭してくれる、
真に暖かな救いのある作品群が集められています。
きっと我々が生きる惑いを感じた時、ひも解いてみるのに適しています。
それから上京組の女の子達、心の痛みを内包して頑張ってしまうタイプの子達が挫けそうになった時。
本書は結構、良い傷薬になってくれるんじゃないかと思います。
大人向けのポップスを目指している「
猫十字社」。
漫画家の
猫十字社から名前をお借りしたいとご本人に了解を得てつけた名前だそうです。
いろいろなタイプの曲があって聞き応えあり。
これ以降のCDはダウンロード配信中心で販売しているのですが、本当はそっちの方をCDで買いたいです(笑)。