陸上自衛隊の女性自衛官教育隊をモチーフにした映画です。実際に教育隊がある朝霞駐屯地で撮影されました。
自衛隊に入隊し、最初の3ヶ月の新隊員前期教育を修了して一人前の自衛官になるまでの話です。
フリーター女が適当な気持ちで募集事務所を訪問して広報官とアレコレやりとりする場面はよくある話だと思いましたが、訓練や営内生活の描写は(陸上自衛隊が撮影協力しているとのことですが)あまりリ
アリティがありません。
キャストの髪型等も女性自衛官の新隊員らしからぬ風貌で、全体的にコミカルな方向に走りすぎているので細部の作りこみなども適当です。
登場人物が自衛官であるとか、舞台が自衛隊とかいうのは単なるシチュエーションとしておいて、リ
アリティを大事に保ちつつ普遍的な人間ドラマを描ければ普通に良い映画になると思うのですが、変に(決してリアルではない)自衛隊っぽさ、滑稽さ、特殊な業界っぽさだとか(基本教練や戦闘訓練や非常呼集がキツいとか規則が厳しいだとか班長が怖いとか)そういう所ばかりをコミカルに強調しすぎて純粋な映画としての面白さやドラマ性を損なっているように感じます。
洋画の軍隊モノなどは(コメディっぽいものでも)その辺がきちんとしているものが名作だと思いますが。
ただ自衛隊を題材にした映画は少ないですし、怪獣映画とかじゃなくってもっとこういう普通の映画で自衛隊モノは特に希少と思うので、一見の価値はありますし、
菅野美穂の自衛官姿が見られるというのが素晴らしいです。結論はそこです。
勢いに流された今風の女の子が、自衛隊に入隊することで様々な体験をし、その成長していく様を描いた作品です。
主役である
菅野美穂の演技は何の問題もありません。実力は発揮されています。役どころは何に於いてもいい加減な女の子。良くも悪くも今風女の子を巧く演じています。彼女の成長が今作品の見どころとなっています。
共演者は地味目ですが、個性は出ていて良好。宮村優子さんの演技が良い方向で抜けています。教官役の方も朴訥した感がありますが役にはあってます。
ただストーリーはメリハリが小さく、ライバルは居るものの、対比の場面が少なくてストーリーを盛り上げきれてません。元々一人前の自衛官になるというのが目標ですから、これ以上の盛り上げようも無かったんでしょうが。音楽もこれといって印象に残りません。兵器考証は完璧です。64式小銃の
分解シーンなど、おそらく他の映画ではやってないでしょう。使われているのはTOP製の電動ガンを改造したもののようですが、本物と見分けは付きません。
菅野美穂ファンは持っていて損はありません。この人は巧いですね。
多少ネタバレあり↓
第2話までは取材なしで書いたそうで、業務とは異なる箇所もありますが、
医療
ソーシャルワーカーの視点をとてもよく表現されていると思います。
そして
ソーシャルワーカーが元天才
外科医、という設定が斬新です。
医療知識があるという強みと、「医師」という強い立場が根付いている病院では
リ
アリティに欠けるところもありますが、主人公(タンバリン)がそれをおくびにも出さず
ソーシャルワーカーの視点で描かれているところがいいです。