このライブ盤を聴くために、ブルースについての知識は全くいらない。音楽は演奏の質でも、完成度の高さでも、測れるものでもない。もちろんそういう音楽は世の中には有るけれど、これはそういう類の音楽ではない。
肩の力を抜いた、素晴らしい音楽。同時に70年代初期の演奏家たちの持っている情熱がほとばしっていると、僕なんかは思う。
ギターがバリバリとなるいわゆるブルースなんかではなく、例えるならば名盤の誉れ高いダニーハサウェイのLive盤みたいに音符が気持ちよく踊っているような音楽。これが、ブルースの括りに収まっていることが残念!
僕は#2~#3への流れが大好き。のんびりと音楽を聴く今、もっと売れていい!はず。
このアルバムの4曲目にSleepy John EstesのEverybody's Got To Change Sometimeが収録されているが、E.C.のMoney And Cigarettesに収録されている、同じくSleepy John EstesのEverybody Oughta Make A Changeは明らかにTajのこのversionを下敷きにしている。Rock SpiritのあるTaj versionはこの時代(1967)の気分を伝えてくれる素敵な演奏だ。こうして考えてみるとTaj一派が突き抜けようとして奮起していたBlues Musicの現代化は明らかにrock musicに大きな影響を与えていたんだと思う。この頃のTaj一派のsoundはLowell Georgeにも確実に引き継がれていたはずだ。(E.C.は時々Sleepy John Estesの曲を取り上げているので、この曲以外も是非聴いてみてそのアレンジを楽しんで欲しい。)
Money & Cigarettes