非常に秀逸なキット。架空の
潜水艦ながら、実存感を上手く再現しています。
1/700にしてモールドが緻密。スクリューローターなんかは惚れ惚れします。
ナディアの人形が付いています。これはもう再販は絶望的かもしれませんが、巷で見つけたら是非買うべきです。
更に、1/700ウォーターラインシリーズと同スケールなので、別キットのロサンゼルス級の
潜水艦やフリゲート艦などと対比ができ、タイフーン級に匹敵する大きさを体感できるでしょう。
設計図の解説書に書かれてる本機の
潜水艦のスペックを読むと、ことごとく現代の
潜水艦の能力を超えています。
・水中速度100ノット以上(最速のα級でも42ノット程度、沈黙の艦隊のシーバットでも50ノット)
・潜水深度10000m以上(深海探査潜水艇しんかい6000が6000m、ロス級が400〜500m)
バ、バケモノ
潜水艦です。
ビバ、アトランティステクノロジー
流石、元宇宙
戦艦
小学校の時になかなかアニメを見せてくれない家庭でしたが、NHKのアニメということで親も快く見せてくれていたのが『
ふしぎの海のナディア』です。『ふしぎ』は漢字じゃないんです(笑)本当に大好きなアニメでした。中学の時にも再放送があり、全話ビデオに収録したのですが、ビデオテープのため保存に限界がありました。つい最近、オーディオSHOPにてDVDの存在を発見しました。全10巻、思い出の作品なので、セットがないものかとまず考えました。しかし、調べてみると2001年予約限定なのであるわけありません。諦めそうな時に、プライスマーケットで出品されていることを知り、ネットで買い物すらしたことのない私でしたが、出品者と事前にも交渉した結果購入しました。映画等が好きなので、大抵好きな作品は特別パックで購入します。この商品は、フィギュアもさることながら、箱・
ジャケット・ケースに至るまで、自分の思い入れのある作品を半永久に持っておくに相応しいものでした。また、作品の内容としては、私と同じ年代の方は『昔のアニメは愛嬌があるな、温かいな』と感じることと思います。しかも、改訂万マイルを原作としており、子供の時とはまた違った感動も覚えます。今度は原作も熟読しようと思わせる、そんな熱いアニメです。
John Ardoin(有名な音楽批評家でカラスの友人)の
マリア・カラス伝を買いたかったのだが、中古でも高めなので、あまり期待せずにこちらを購入。
著者はプロの物書きではなく、元はPR畑の女性らしい。『王女メディア』の撮影に入る直前の
マリア・カラスと知り合い、「女性の下で働くのは苦手」だと正直に言ったせいで却ってカラスに気に入られ、請われて映画撮影中の個人秘書のような仕事を引き受ける。以来、カラスが亡くなるまでの八年間、交友関係が続く。
堅実な伝記の体裁も取っているので、カラス伝記初心者の方でもタメになる。しかし同時代人にとってカラスが放った(らしい)光彩は現在においては想像を絶するものがあって、21世紀で例えになる人物はいるのだろうか。オペラ歌手が
アリーナを満杯にするロックスター並みの熱狂を呼んだ時代…うーん。
取りあえず、幼年時代から少女時代に関するカラス証言と他者の回想との食い違いなど、のっけから羅生門状態でスリリングだ。誰かが嘘をついている。おそらく結構な部分、カラスが。ただしご本人にとってはそれが内的真実だったのだな。「不遇で可哀想な少女時代の私」というドラマ。偉大な女優だった人だ。特に憑依系の女優さんは思い込みが激しい。
著者の回想のカラスはとてつもなく自己チューで、しかし無邪気で、ロマンチストで、クソ真面目で、狡猾さが皆無、ホロリとくる人だ。ジョーン・サザランドがカラスの上流社会への憧れをやや批判的に言及していたことがあるが、やや俗物なところも含めて「人間的」と言うしかない。ちなみに誰かがカラスを「誇り高い百姓女」と言っているが、首肯するものがある。天才歌手じゃなかったら肝っ玉母ちゃんになっていたのでないか。しかしマリア・カラゲロプーロスは
マリア・カラスになった。カラスは楽譜から作曲家の深意を読み取れてしまう超能力者(としか思えない)だったのだから、仕方がない。その音楽的本能のままに突き進んだら、オペラ界の革命児、スーパースターになっている。ちなみに、どうも革命児になるような天才は、良くも悪くも、親の役割があまり大きくないような印象がある。彼らは勝手にやる。
難点を言えば、やはり声楽専門家の知見も欲しかったというあたり。歌唱法の歴史的変遷なども含めて、オペラ史的視点が多少は欲しかった。しかし総じて、友人という立場が生かされ、情理のバランスが取れた伝記だ。白眉は、テレビ中毒だと周囲に眉を顰められる晩年のカラスの姿を弁護する著者の言葉。テレビという媒体の何がカラスを虜にしたのか。カラスは意味を探していたのだ。自身の理解さえ超越した自分の人生の意味を。