これは東宝ではなく松竹で撮った1950年の作品。
スキャンダルをでっち上げるマスコミ批判の映画程度の印象しか残っていなかったが、この作品はそれだけに留まらず、人間的に弱い
弁護士が金に翻弄されながらも、最後は真実の勇気に目覚めるドラマだった。
やっぱり黒澤作品は奥が深い。
作詞家でもありクラブ・オーナーでもあった著者が自らの経営していた銀座「姫」について、またその酒場に集った男達、女達について語った作品。一般の人々とはあまり縁のない銀座の夜の生態を垣間見ることができます。ホステスの壮絶な人生や客の男たちの盛衰など、全編に強く漂うのは艶やかさの部分ではなく、むしろ人の業を感じる濡れた闇の部分。実際に現場にいたもののみが語れる文学といっていいと思います。