高校時代に彼がドラムを担当したYesのClose to the Edgeを聴いて衝撃を受け,それ以来,ある意味で彼のおっかけをやっているみたいに音楽に接していた自分にとっては,
英語という敷居の高さを超えて是非読んでみたい本と思い購入しました.この本に彼が活躍したバンドの舞台裏の楽屋話や暴露話を過剰に期待される方にはお薦めしません.もちろん,その手の内容(例えば,ロバート・フリップがビルの子供にどういう接し方をする人だったかとか)もあるのですが,すべては彼自身の音楽に対する姿勢,音楽を職業としている生活の在り方に対する姿勢,さらにもっと大きくは人生の過ごし方に対する姿勢を示すために必要な逸話として提供されています.ほのめかしや,謎めいた書き方をしていることも多いので,長年の彼のファンならばニヤリとできる反面,彼を全く知らない人にとっては何を言いたいのかが分からないところも多いかもしれません.ただ,それでも彼の音楽,そして人生に対する真摯な(でも,多少シニカルな)姿勢には共感するところ大です.YesもKing CrimsonもGenesisもいずれも大ヒット作を飛ばしたバンドではありながら,華やかなサクセス・ストーリは語られません.むしろ何故彼がClose to the Edgeの出来には自負を持ちながらも,それをライブで演奏したいとは思わなかったのか,Crimsonで演奏すると言うことのしんどさはどんなものなのか,Genesisへの参加はなぜ短期になったのか,そしてなぜロック・バンドをやることはやめて
ジャズをしていたのか,などについての記述を通してBill Brufordという太鼓叩き,または音楽家像が浮かび上がってきます.成功と幸福とは違うことなど,ロックや
ジャズの分野以外の音楽でも,いや音楽家でない人にとっても人生観を考える上で参考になる部分も多い自伝だと思いました.
70年代後半という時代は洋楽にとってとんでもない進化を遂げた時代だったと思う。
ジャズがロックやファンクに憧れ、ロックが
ジャズに憧れ、
リズムも和声も旋律も新しい手法を取り入れ、実験し切磋琢磨していた。
60年代はマイルスファミリー以外は、まだお互いが違うものだという自負のもと、演奏していたが、
70年代初頭からは、色々なカテゴリーの音楽が刺激的な手法を貪欲に吸収しあい、混ざり合い
接近していった音の革命の時代だった。
マイルス、ハンコック、ショーター、チック、スティーリーダンやブレッカーやザッパ・・等々、
刺激に満ちたクリエイティヴな良き時代をリアルタイムで体験できて幸運だったと思う。
音楽がクロスオーバーする激動の時代の最中、生み出された作品がこのフィールズグッドトゥミー。
パトリック・モラーツとの共演で鋭く光るものを感じさせたジェフ・バーリン、
ロバート・フリップが当時絶賛していた音程の
魔術師アラン・ホールズワース、
クラシック・
ジャズとアカデミックな優等生であろうデイヴ・スチュワート、
この若き最新鋭の芸術家達3人を中心に従えて、世に問うた問題作でした。
ここにはヒットさせようという商業主義など微塵もありません。
また逆に奇をてらったものもありません。
既成の音楽の三原則を理解したうえで、まじめに突破口を探し、
音楽をもっと新しい高みへ進化させようとする姿勢がよく伝わってきます。
アルバム全体の印象は、ビルが参加していた頃のクリムゾンのような破壊的な猛々しさはなく、
妙にきれいな牧歌的なメロディーが随所にあり、作曲者としてのビル・ブラッフォードのやさしさを垣間見れます。
ゲスト女性ボーカルのアーネット・ピーコックの不思議な声が別世界へ誘い、
トンネルの向こうからこちらへ迫ってくるような音像の、以前には無くワンランク進化したであろう
ホールズワースの幾何学的フレーズが圧巻なモーダルな2曲目が私にとってとても気持ちが良い音で、
当時からずっと特にお気に入りのチューンです。
他の曲も色々なタイプの佳作が多く、実験的ではあるが、奇をてらわず音楽としてすばらしいと思います。
高校時代に彼がドラムを担当したYesのClose to the Edgeを聴いて衝撃を受け,それ以来,ある意味で彼のおっかけをやっているみたいに音楽に接していた自分にとっては,
英語という敷居の高さを超えて是非読んでみたい本と思い購入しました.この本に彼が活躍したバンドの舞台裏の楽屋話や暴露話を過剰に期待される方にはお薦めしません.もちろん,その手の内容(例えば,ロバート・フリップがビルの子供にどういう接し方をする人だったかとか)もあるのですが,すべては彼自身の音楽に対する姿勢,音楽を職業としている生活の在り方に対する姿勢,さらにもっと大きくは人生の過ごし方に対する姿勢を示すために必要な逸話として提供されています.ほのめかしや,謎めいた書き方をしていることも多いので,長年の彼のファンならばニヤリとできる反面,彼を全く知らない人にとっては何を言いたいのかが分からないところも多いかもしれません.ただ,それでも彼の音楽,そして人生に対する真摯な(でも,多少シニカルな)姿勢には共感するところ大です.YesもKing CrimsonもGenesisもいずれも大ヒット作を飛ばしたバンドではありながら,華やかなサクセス・ストーリは語られません.むしろ何故彼がClose to the Edgeの出来には自負を持ちながらも,それをライブで演奏したいとは思わなかったのか,Crimsonで演奏すると言うことのしんどさはどんなものなのか,Genesisへの参加はなぜ短期になったのか,そしてなぜロック・バンドをやることはやめて
ジャズをしていたのか,などについての記述を通してBill Brufordという太鼓叩き,または音楽家像が浮かび上がってきます.成功と幸福とは違うことなど,ロックや
ジャズの分野以外の音楽でも,いや音楽家でない人にとっても人生観を考える上で参考になる部分も多い自伝だと思いました.
一言でいってしまうと「ビルとトニーのライブアルバム」なのだが、この演奏がされた時期はちょうどKCがダブルトリオを更に発展させていこうというロバート・フリップの意思によって、メンバー各人がそれぞれ実験的な活動をしていた時期でもあった。
あまり知られてしない事だが、KCはロバート・フリップのバンドであって他のメンバーはフリップの意向に従っていると思いがちであるが、実はビル・ブルッフォードとフリップは曲を作る時に昔から言い争いをしていて、両者とも譲らなかった。
ダブルトリオ以降のKCは『コンストラクション・オブ・ライト』に見られように、フルッフォードは抜け、レビンもピーター・ガブリエルのサポートメンバーをしなければならなかったので抜けてしまい、それぞれの穴埋めをパット・マステロットとトレイ・ガンが行ったが、ブルッフォードとレビンの技量に比べた時の差は著しいものがあった。
このライブアルバムで聞かれるようにブルッフォードは変拍子をちゃんと区切って叩き、しかもアドリブで突然別の変拍子を自在に入れたりも出来る。
レビンは根っからの超絶テクニックベーシストだから、いかようにもスティックを操作してリズムを刻む。
KCにいる時のレビンは忠実なサイドマンとしての側面が強く、あまり前には出てこないが、ベースの演奏技術は世界的にみてもトップクラスで、あの名高いジャコ・パストリアスよりも上の演奏技術を持ったベーシストだと断言できるほどだ。
さて、肝心の本作だが、
トランペットとギターは申し訳程度に音を入れているだけなのだが、ブルッフォードとレビンの演奏は超絶技巧の嵐だ。
世界最高峰のドラマーとベーシストが共演するとこういう音をかなでることができるという見本だと思う。
KCファンはもちろん、ドラムとベースに興味がある人は、ジャンルを問わずに聴くべきアルバムだということは間違いないと言えるだろう。