藤田和日郎の作品の持つスピード感や迫力は、アニメという表現手段にぴったりだと、まったく感心させられる。
特に前半は原作にもほぼ忠実で、シャープさやスピード感・迫力抜群。
またとらちゃんの声をあてている大塚周夫が最高!!この作品は最初から周夫のために作られたのではないかと錯覚するほど、よく合ってて感激した。
彼の作品にしばしば見られる残虐さ・むごたらしさは、見る側が選択を考慮すべきであるが、それをおいてもめっちゃ面白い作品である。
ただし、物語は途中で急速に原作とは方向を変える。
この物語の本当のテーマや主役、そして謎は葬り去られ、
妖怪と人間との共存を願う、というありきたりな形であっけなくこの物語は終結する。
その片鱗はオープニングムービーにまで姿を見せているというのに・・。
途中までの出来がよかったからこそ、それが残念でたまらない。途中の伏線を完全に切ってしまったから、もう続編を作ることもできない。
だー!こんなのあんまりだぁー!
このOVAシリーズは、大体原作に忠実に作っているが、この話はかなり設定が異なる。「白面のもの」との戦いや母の存在に触れなかったため仕方がないとも言えるが。
ただ、美しい自然の中で、人間たちと共存してきた
妖怪・かまいたちの兄弟が、人間たちの開発に追われ住処を失ってゆくことから起こった悲劇という点では変わらない。
確かに人間たちへの憎しみから狂ったかまいたちの行動を許すことはできないが、愛する住処を追われ続けてゆく彼らの哀しみが胸にしみる。
ところで、かまいたちのかがりの強気な行動と、とらのやりとりが結構笑える。うしおにとっては笑いごとではすまないことになるが・・
かがりはかわいくてかなり好き。長兄の雷信も声優いいし、かっこよし。このかまいたちの兄妹は本編では相当重要なキャラなだけあって、魅力的に描かれている。いいキャラだと思う。