世界的な大ブームとなった、ダン・ブラウン作の同名小説の映画化。
独自の解釈と考察により、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の中にイエスの血脈の謎が隠されていると推理し、フィクションでありながら「人間イエス」を強く強調したため、カトリックの総本山ヴァチカンが否定の声明を出す異例自体まで起こった。
著書・映画の他に、考察本や特集番組も多く製作され、その世紀のタブーにキリスト教圏にみならず世界中が震撼した。
キリスト教やその風習に馴染みかあるかどうかに関わらず、そのひとつのミステリーとしての絡め方・仮説の立て方は興味深い。
一部の妄信的な信徒方には発狂ものではあるが、その謎解きの過程は別としても、最も大切であるのはイエスの神性や様々な偶像的信仰ではなく、その教えであると再認識させることとなったのではないだろうか。
映画としては鮮度は大分落ちてしまった感は拭えないが、その壮大な世界観はDVDコンプリートBOXのみに収録されていた追加の23分の映像と共に、新作の「天使と悪魔」に向けてセットで楽しめるだろう。
SPEのBD第一弾の予定が大幅に延期され、ようやくリリースされたが、画質は少々不安定。
全体的に陰影表現が多く、あえて闇や影などで見せない演出も多い故か、暗部諧調が潰れ優れない様に感じてしまう。
照明を控え、冷たく埃舞う様な古文書を連想させる映像。
妖しくミステリアスな空気感は満点であるが非常に珍味。
シーンにより映像のバラつきも感じる。
気になるのは、ピントの甘さ。
要所要所でかなり柔らか過ぎて(ボヤケて)首をかしげてしまう。
演出や照明・尺の長さなど様々な要因があるのだろうが、高画質と感じ難い映像。
細かく調整を試みてもなかなか難しく、あるシーンに合わせると別のシーンが観辛くなってしまう。
フラッシュバックで過去の情景を描くシーンでは高画質と感じられる為、やはり意図的なものなのであろう。
ただ発色は悪くなく、小さな灯りや建造物・装飾もナチュラルでありながら、宗教建造物内の空気感を非常に良く再現していると感じる。
音質は良好。
英語・日本語共にロスレスTrueHD5.1chで収録。
妖しくスリリングな会話や環境音は明瞭に聞こえてくる。
過度な装飾はないものの、大きな役割を担う音楽・効果音は非常に広がりノビを感じる。
幻想的なサウンドが、静かに空間を包み込み、その世界に浸らせてくれる。
特典は非常に充実。
本編ディスクのPicture in Picture形式による解説に加え、BD-LIVE、『天使と悪魔』特別映像を収録。
この新作『天使と悪魔』の特別映像は予告編の他に、ある1シーンが丸ごと収録されており期待が高まる。
また別途特典ディスクも封入。
Blu-rayのみの特典として小説から映画へ、ダ・ヴィンチの小道具、『ダ・ヴィンチ・コード』の映画セット、再現された名画などをHD画質で収めており、この特典ディスクは十分満足できる。