一番甘えたい時期に大好きな母を亡くしてしまう
サスケ少年だが、涙を拭き父「大猿」と共に波乱を乗り越え、成長していく
サスケの姿がなんとも格好いい。まだ幼い
サスケだが、ほかの子供達に向かって「ちょっとこらしめてやらなきゃダメだな!」と大人ぶるところがカワイイ。また、DVDならではの忍術解説や
サスケの故郷紹介などもある。
白土長編作品で、最も最初にはまったのが本作だった。
「少年」誌に連載当時はいまひとつのれなかったが、集英社
コンパクト・コミックス版で全15巻をまとめて読んだときの感動は、なんとも言い表せないものだ。
ひとことで言えば、少年忍者
サスケの成長を綴った物語である。
父親の大猿が
サスケの、忍者としての、そして人生の師匠である。
陰になり日向になって、
サスケを見守る父親の目線が、非常に暖かい。
そして、さまざまな忍者や剣客が、
サスケと大猿に絡んで、ストーリーが展開する。
特に、忍者同士の闘いでは、その忍法の解説とともに、スピーディーな描写に舌を巻いたものだった。
そして後半というか、
コンパクトコミックスでは11巻以降だったと思うが、成長した
サスケが、自分の足で歩き、さまざまな困難に立ち向かう。
白土マンガであるから、最終的には農民と武士階級との闘いが絵が描かれる。
これは、「忍者武芸帳」の頃から変わらない、常に登場するテーマである。
それが主旋律となるか、伴奏で終わるかで、作品の重み、暗さが違ってくる。
本作も、終盤に近くなると、物語世界はどんどんと暗くなる。
それは、権力者に対する庶民の力が、いかに無力なものであるかを再確認することになるからだと思う。
著者は、それが痛いほど分かっていて、しかし描かなくてはならないというスタンスなのだ。
だから、最終的に農民たちの味方をする
サスケは、敗北してしまう。
どうしても、ハッピーエンドというわけにはいかないのが、著者の作品なのだ。
厳しくも暖かい大猿(父親)の元、修練して技を磨きどんどん強くなっていく。
どんなに強い相手でも最後には技を破り勝利に導く。
どんなときでも子供らしさを失わず、時には敵にも情けをかける。
たとえ首尾よくいかなくても貧しい人や虐げられている人達の側につく。
サスケってそんな話じゃなかったんですか。
それがなんという終わり方・・・。
まだご存命のようですのでいまからでもどうか続きを書いてほしいです。