俳優・利重剛氏の監督デビュー作です。DVDも出ておらず、ビデオも廃盤となっているようで、なかなか見る機会がないと思われるが、80年代後半のバブル前夜の雰囲気が今見ると妙に懐かしいです。脇を固める女優がその後有名になりました。全体的にブルーがかった透明感ある映像と出演者達の演技により、なかなか見ごたえのある青春映画となっています。当時流行った桑田某監督とかのタレント監督作品とかとは一線を画しています。
辛口ながら、愛情いっぱいにつまったエッセイは、読み応えたっぷり。なによりすごく笑える! 読後には、いやな出来事の多い日々だけど、ちょっとした町の風景や、友達との会話も大事にしていくことで、何かしら自分の生活もいきいきとし、何より周囲もハッピーにできるんじゃない!? なんていう気分にさせてくれます。
さすがに映画監督ならではの細かい観察力と、何にでも好奇心と疑問を持ち続ける人間らしさは、尊敬もの。
イラストも楽しく、通勤電車の憂鬱もぶっとばしてくれそうな一冊です。利重さんのファンになりました。
本作が発表される少し前、
衛星テレビという新興メディアの
WOWOWから、J・MOVIE・WARSが提唱された。
衰退する日本映画界から新しい才能を輩出する。そのための
舞台を提供する。ここから本作の監督である利重剛や助監督
の青山真治をはじめ、多くの人間が表舞台に登場していった。
WOWOWが目論んだ意図は達成されたのか。WOWOWそのものが、
IT革命を起爆剤としたメディア革命のなかで、これからの
方向性に苦慮している現実を考えると、すでに過去の出来事
なのかもしれない。
しかし、本作には刻まれた濃厚な時代の香りを感じることが
できる。
中谷美紀演じるキョーコには、アイデンティティ不
安の90年代という時代が濃厚に匂い立ってくるようである。
「BeRLiN」というスカした
タイトルも同様。ストレートに表
現できないもどかしさに満ちている。